もう日本に勝ち組はいない…!教育費がどんどん高くなる東京の「子育ての真相」と衆院選で語られない「東京一極集中」、その危うすぎる罠
東京の暮らしは絶望的だ…!
厚労省の毎月勤労統計調査によれば、東京都の現金給与総額は2001年44万5133円から2023年には43万2475円と、22年経って増加しているどころか、2.8%減少している(※23区のデータはない)。2013年以降のアベノミクスによって、大企業では大幅な賃上げを達成したものの、平均ではこの22年間で給与は減ってしまっているのだ。 そのうえ、給与が全国平均と比べて高いからといって、東京の暮らしが豊かだというわけではない。国土交通省の推計では、東京の全世帯平均の可処分所得は全国3位だったものの、可処分所得から家賃や食費などの基礎的支出を差し引くと、その額は全都道府県で42位に下がるというのだ。 日本はデフレに陥って30年と言われてきたが、実際のところ、東京に住む子育て世代を中心に「給与はデフレ、住居費や子育て費用はインフレ」という状況が続いてきた。特に、日銀の大規模な金融緩和以降、そのインフレが加速したという事実を無視してはいけない。 日本全体の子育て世代が、日銀の異次元緩和の大きなツケを払わされている。とりわけ、23区に住む子育て世代への代償は大きかったといえるだろう。子どもを育てるのが苛酷になった国で、少子化が止まるわけがない。
日本の凋落をもたらした「政治の怠慢」
政治は日銀の金融緩和に過度に依存し、大企業の業績・株価や不動産価格を大幅に押し上げた。その一方で、財政では無駄な支出を繰り返し、生産性が一向に上がらない(=所得が上がらない)状況をつくりだした。 過去の政治の怠慢が、国民にすべてしわ寄せとなっている。これは、政治資本が選挙に勝つという一点に偏重しすぎているためだ。 その結果として、政治は根拠のない政策でバラマキに終始し、改革どころか改善もできなかった。日本は過去30年、静かに沈み続けてきた。 東京への一極集中と子育て世代の苛酷な環境は、豊かさを失った日本の縮図にみえる。すべての元凶は、生産性の低下ひいては所得の減少にあるという事実に、政治は着目すべきだ。 所得を上げることが重要ではない。生産性を持続的に上げることなく、所得の持続的な増加はありえないからだ。 そういった意味で、今後の最重要課題は政治資本を生産性の向上に集中することだ。しかし心もとないことに、今回の衆院選挙ではそういった主張はほとんど聞かれない。 さらにつづく記事『「インフレで賃金が上がらない理由」はこれだ…!「永田町の政治家たち」に告ぐ、日本を没落させた「政治の不作為の真実」』では、この国の凋落の原因をさらに詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてほしい。
中原 圭介(経済アナリスト)