新妻聖子「ブランチのリポーターから帝劇の『レミゼ』で衝撃のミュージカルデビュー。いまは息子の成長が1番の喜び」
◆『ボディガード』で、再びレイチェル・マロンを 2024年2月より、ミュージカル『ボディガード』の再々演が始まります。私は2020年の初演から、映画ではホイットニー・ヒューストンさんが演じていたレイチェル・マロンという歌手の役を演じています。 お客様からご好評をいただいて上演を重ねている作品なので、もちろんプレッシャーもありますが、何より「またあの最高の時間が戻ってくるんだ!」というワクワク感の方が大きいですね。 3度目のレイチェル役ですが、芝居のシーンではもう1度彼女に出会い直すという新鮮な気持ちで挑みたいですし、ショーのシーンではいい意味で肩の力を抜いて、お客様と密にコミュニケーションをとりながら楽しんでいきたいです。 劇中には「エンダ~♪」で有名な『I Will Always Love You』を始め、最高にテンションの上がる『Queen of the Night』など、映画『ボディガード』を彩る数々の名曲が登場します。 なかでも舞台版ならではの演出に注目していただきたいのが、一幕の最後に歌われる『I Have Nothing』。フランク・ファーマーを演じる大谷亮平さんの目の前で歌うんですが、なかなか生きててあんな至近距離で人に歌いかける経験って無いので、もはや大谷さんの顔を見ないとこの曲は気持ちが乗らないくらいになっております。(笑) シンプルな演出ですが、すごくドラマティックなシーンなので楽しみにしていてください。 初演と再演をご覧になり今回も楽しみにしてくださっているという方も多いですし、コロナ禍のさまざまな制限から解放されての上演となりますので、ぜひ客席の皆さんも手拍子や歓声で一緒に盛り上がっていただけたら嬉しいです。
◆子育てで直面した「どうにもならない事態」 私は基本的に気合いで生きている部分がありまして、特に仕事に関しては非常にストイックだと思います。息子を産んだ時も、その思考のまま新生児育児に突入し、めちゃくちゃ頑張って、倒れました。気合いだけではどうにもならない事態に、人生で初めて直面したんです。 出産してしばらくは体調がとても良かったので、「いけるだろう」と産後7ヵ月で仕事に復帰したんですが、やはり夜間授乳の寝不足と、子どもの風邪がうつったりで、無理を続けていたら声が出なくなって……。そのまま負のループにはまり、息子が2歳になるくらいまでは、まさにどん底の暗黒期でした。 1番気持ちが落ち込んでいた時は、子どもをお風呂に入れながらぽろぽろ涙が止まらなくなったり。「あぁやばいな。このままいくと本当に壊れるかもな」というくらい思い詰めた状態で仕事をしていましたね。 ところが、ある日突然「ま、いいか!」と思ったんです。「これがいまの私なんだから。いま自分にできるベストをやればいいんだ。誰にどう思われてもいい。お疲れ、私!」って。そうしたら何をやっても良くならなかった声の不調も治ってしまったんですよね。人間の体って、本当に不思議です。 ちょうど息子もお喋りをする年齢になって、新生児の頃は泣いてるだけで何を伝えたいのかわからなかったのに、可愛い声で「ママだいすき」なんて言ってくれるものですから、もうメロメロですよ。(笑)自分の不調にばかり目がいって見落としていた人生の素敵な側面も見えてきて、色々なことが一気に好転していきました。 長期に及んだ暗黒期は苦しかったですけど、あの経験があったからこそ、私は前より豊かな人間になれたし、今後長く仕事を続けていくうえでも本当に大切な、必要な学びだったんだなと思います。