渋谷の街中で花火大会!? パルコが積極的に取り入れるXR技術の可能性
空間もファッションになる時代の到来
渡邊 今後、やってみたいと思っているアイデアはありますか? 林 今渋谷PARCOの6階フロアは、日本が誇るキャラクターが集うフロアなんですが、そこをまるごと現実×バーチャルの空間にしたら面白そうですよね。フロアに足を踏み入れた瞬間に、目の前にキャラクターがいたり、ゲームの世界そのものに自分が入り込めるような体験をしながら買い物ができたら面白いですよね。 渡邊 ゆくゆくはこの空間自体を、自分のファッションとして取り扱う時代がやってくると思うんです。空間に好きなものを浮かべたり、気分が高揚したらハートが飛んでいたりとか。考えられる限りなんでもできるし、色々なことが起きると思うんです。PARCOの中のショップに入ると、ブランドそれぞれに表現されたものが空間として存在して、それが人それぞれ変えられたり、それ自体を販売できたりということが起きてくるような気がするんです。そしてまた、空間を彩るという新しい文化・カルチャーが生まれていくような気がします。
スマホがなくなる日、どんなことをしてみたい?
林 空間コンピューティングは、「タイムマシーン」になるなと思っています。というのも2019年、渋谷PARCOリニューアルオープン前の工事中、施設を覆う壁一面を大友克洋先生の漫画『AKIRA』の名シーンのアートボードにしたじゃないですか。そのアートボードを撤去する前に、STYLYさんが画像をキャプチャしてくれたものを、PARCOのオープン後にバーチャルに再現してくれて……。「未来にも行けるし、過去にも戻れちゃうんだ!」って感じたんです。当時を懐かしみながら、当時のスタイルの買い物ができるとかも夢ではないと思いました。ですから、スマホがなくなる日、昔のPARCOで買い物を楽しんでみたいですね。 渡邊 ぜひ、過去での買い物体験、洋服なんかも当時流行したものを取り揃えて、タイムスリップショッピングを実現させましょう! 林直孝/Naotaka Hayashi J.フロント リテイリング 執行役常務 デジタル戦略統括部長 。1968年大阪府生まれ。パルコ入社後、全国の店舗、本部および、WEB事業を行うグループ企業のPARCO CITYを経て、2022年よりパルコ、大丸松坂屋百貨店等の持株会社であるJ.フロント リテイリングでグループ企業のデジタル戦略の推進を担当。 渡邊信彦/Nobuhiko Watanabe STYLY 取締役COO。1968年千葉県生まれ。2016年 Psychic VR Lab(現・STYLY)の設立に参画し取締役COO 就任。XR クリエイターの発掘や育成を目的としたプロジェクト「NEWVIEW(ニュービュー)」を立ち上げたほか、グローバルに活躍できる人材を輩出するために尽力している。
TEXT=ゲーテ編集部