渋谷の街中で花火大会!? パルコが積極的に取り入れるXR技術の可能性
商業施設の価値をさらに高めるには?
渡邊 2024年2月に渋谷PARCO屋上で開催した「MIRAI HANABI」は、一緒にやらせていただいてとても楽しかったです! 屋上で、スマートフォン越しにARの花火が映し出されるという無料のイベントでしたが、企画段階の際、林さんは「本物の花火に近づけたい!」と、精度にすごくこだわっていましたよね。 林 そうでしたね(笑)。渋谷の街に特大の花火を上げることは危険なのでできません。それに花火は夏の風物詩ですので、「冬に花火大会」「渋谷の街なかで花火大会」という、通常では体験できないものをお客さんに提供したかったんです。 みなさんが見たい花火って何だろう? と考えた時、シンプルにリアルな花火なのではないかと思ったんです。ですので今回はリアルさにはこだわらせていただきました! 渡邊 私たちは「ファミコン風の花火はどうか?」など、デジタルにしかできない方向に振ろうとしてしまいがちなんですよね。「本物にはやはり勝てない」と、私は思っていましたから。でも、お客さんはデジタルフリークの方というより、花火が好きな方のほうが多い印象でした。本物にも負けないリアルな迫力が出せる未来を見据えて、今回、林さんがとことんリアルにこだわったのは大成功だったと感じています。林さんは、このイベントを通して、どんなことを感じていたんですか? 林 もう自信が確信に変わりました! 今回のイベントはスマートフォン越しに花火を見たんですが、これをApple Vision Pro越しに見たらどんなにすごいんだろうなぁ! と勝手に想像しながら私も体験していましたね(笑)。同時に、商業施設の役割も大きく変わっていくんだろうという思いも抱きました。 渡邊 具体的に、どのように変わっていくと感じましたか? 林 たとえば花火大会を例に出すと、今までは浴衣は商業施設で買って、それを着て週末あたりに河川敷などで開催している花火大会に行く、というのが一般的でした。でも商業施設の屋上で花火大会を体験できるのであれば、浴衣を買って、その場で着付けをしてもらって、屋上に上がれば花火大会を楽しむことができる。これぞ価値の拡張ですし、可能性を感じますよね!