【更年期ダイエット】いま話題の内臓脂肪減少薬「アライ」。ホントにやせる? 気になる「油漏れ」は⁉ 医師に詳しく聞いてみた!
更年期女性にはおすすめ?
ーーオルリスタットを活用した内臓脂肪ダイエットは、更年期女性におすすめですか? 「女性の更年期は、女性ホルモンの減少、加齢による基礎代謝の低下や筋肉量の低下などが複合的に関連しながら、内臓脂肪が徐々に増えてくる年代です。 一方で、内臓脂肪を減らすには、食事や運動などの生活習慣改善が重要であることは、おそらく誰もが頭では理解していますが、実践することや継続していくことがむずかしいことも事実。美味しい食べ物、夜中のポテトチップス、お酒を飲んだ後のラーメンなど、脳にインプットされてしまっているいわゆる『報酬系』と呼ばれている行動を制御することは至難の業です。 これらは一気に変えようとするとその反動も大きく、何度もリバウンドを経験した方も多いのではないでしょうか。 まずは、生活習慣改善に取り組み、うまくいかない場合は、生活習慣改善の取り組み効果を高めることが期待されるオルリスタットを治療選択肢の一つとして検討するのが良いのではないでしょうか」
ダイエットを成功させるコツ
ーーオルリスタットを有効成分とした市販薬をうまく活用してダイエットを成功させるコツを、注意点も含めてお教えください。 ・オルリスタットを服用するだけではNG 「オルリスタットを服用するだけで痩せようとしてはいけません。重要なことは、なかなか上手くできなかった生活習慣改善を習慣化させていくことや、そのために必要なモチベーションを獲得していくことです。 脂肪が体内に蓄積されるという現象は、消費カロリーよりも摂取カロリーが多い状態です。消費カロリーを減らす食行動や消費カロリーの増加が期待できる運動の小さな目標を立て、できることから少しずつ取り組んでいき、時間をかけて試行錯誤しながら、実際の行動を変容させていくことを意識してみてください」 ・無理のない目標を立てる 「目標とする行動は、例えば『今後ラーメンは食べない、一切間食しない』など、極端なものは、継続できない可能性が極めて高くリバウンドするリスクも高いです。そのため、無理なく続けられるものからスタートし、慣れてきたらその強度を上げていくのがコツです。 間食を毎日する方であれば、まずは『週に1回は間食しない日を設ける』と決め、行動が習慣化してきたら、取り組む日を週2回に増やしてみるという進め方が良いでしょう。 また、取り組むと決めたことが守れなかった場合に、必要以上に落ち込まないことも重要です。食べるという人間の本能に過大な負荷をかけ続けるのはストレスなので、時には食べたいものを食べたいだけ食べましょう。最も重要なことは、小さな成功体験と失敗経験を積み重ねながらも取り組みを継続し、中長期的に生活習慣が変わっていくことです」 ここまでの前編記事では「オルリスタット」や更年期に向いているかどうかを伺いました。 後編記事『【医師が解説】話題の肥満症治療薬「GLP-1」はやせる? 副作用はないの⁉ 更年期ダイエットのコツが知りたい』では、話題の肥満症治療薬「GLP-1」と更年期ダイエットのコツについて伺います。 【取材協力】 宮崎 滋先生 日本生活習慣病予防協会(理事長)、日本肥満症予防協会(副理事長) 結核予防会 総合健診推進センター所長、東京逓信病院顧問、日本肥満症予防協会副理事長。編著書は『ダイエットの方程式』(主婦と生活社)、『肥満症教室』(新興医学出版社)など多数。
ライター 野村昌美