【更年期ダイエット】いま話題の内臓脂肪減少薬「アライ」。ホントにやせる? 気になる「油漏れ」は⁉ 医師に詳しく聞いてみた!
油が漏れる、下痢をしてしまう?などの疑問も。先生の見解と対処法
ーーオルリスタットを有効成分とした市販薬は、「油が漏れる」ことで大変な苦労をするという噂などがあります。現状はどのような感じですか? 「オルリスタットには、食事から摂取した脂質の約25%を体外に便として排出する作用があります。副作用の1つとして油漏れ等が報告されていますが、一般の方々には油漏れが誇張されて伝わっているように思えます。 臨床試験データによれば、何らかの消化器症状が発現するのは服用した方の約60%ですので、全員に発現するわけではありません。また、大半の副作用が投与開始2週間以内の初期に生じやすく、比較的速やかに消失する傾向があります。症状が発現した方も、徐々に通常の排便の範囲内で対応できるようになってきます。 一方で、服用期間を通じて症状が断続的に生じているケースも認められています。高脂肪の食事を継続的に摂取すると、油漏れが生じる可能性が高まると考えられます。万が一、服用期間中ずっと脂分が便から大量に出てくるのが気になった場合、それは脂肪分の多い食事を日常的に食べている証なのだと気づき、食生活を見直すきっかけにするとよいでしょう。 これまでは、肥満を解消しようとすると自己管理に基づく生活習慣改善しか対処方法がありませんでした。そんな中、動機づけや継続性に課題を持つ生活習慣改善を補助するというコンセプトのもと、しっかりとしたエビデンスを持った薬を活用できるようになったことは、予防医学的にも画期的であると評価しています。 また、医療費の高騰による社会保険システムの持続性が危ぶまれる中、過剰な内臓脂肪蓄積が引き起こしうる生活習慣病や、その後に生じる心筋梗塞や脳梗塞、がん、認知症などを早期に低減するという可能性もあります。膨らみ続ける医療費の軽減にもつながりますし、いろいろな意味で日本社会にとっても意義があると考えます」 ーーオルリスタットの油漏れを前向きにとらえるポイントを教えてください。 「油漏れを含む消化器症状は、オルリスタットの本来の効果の現れですが、実際に生じた場合は、不快に感じるのは当然です。油漏れは少量の油がじわっと染み出す症状であり、油の量が多すぎるならば、ナプキン等で物理的な予防策を講じる必要があるかもしれません。 しかし、そんな症状を体感するときは、よっぽど過剰に油を摂取してしまっている可能性が高いでしょう。自身の食生活の振り返る機会でもありますし、少しでも脂肪が少ない食生活を送るように決意する機会として、前向きにとらえることをおすすめします。 また、通常の排便の範囲内でコントロールできる程度だったり、あるいは油漏れが発現しない方は、現在の食生活が油の摂取を少なくした適切な状態と考えても良いのではないでしょうか。 排便時に排泄された油を見ることは、視覚的なインパクトがあります。高脂肪な食生活を是正するきっかけとして活用してみてはいかがでしょうか」