シャープ退職者を狙うアイリスオーヤマの戦略とは?
しかし同社ではそうした人材に、商品開発の現場で手を動かす技術者としての仕事を再び任せる。技術者たちは大手メーカーでは経験のなかった商品の企画にも携わり、一から商品を手がけていく。技術者側も「もう一度開発がやりたかった」と希望して入社するといい、優秀なベテラン技術者が再びやりがいを持って新商品を開発し、世に出していける環境がある。大山常務は「日本の家電が元気なとき、第一線で戦ってきた人材。なぜこれだけ能力のある人たちを放出するのか。とてももったいないことだ」と話す。 「日本のものづくりの底力は、かなりある」。大手メーカーが手放した人材の社内での活躍を見て、大山常務が持った感想だ。大手メーカー退職者には海外企業へ流出する人材もいるが、「金銭面での条件はいいかもしれないが、技術者の中には今まで戦ってきた相手には行きたくない、日本のものづくりがしたいという人も多い。(自社には)自分の商品を市場に出せるという、開発者にとっての一番の魅力もある」と強調する。国内メーカーの苦境が続く中、大手メーカーの眠れる人材の宝庫を獲得して成長を続ける同社の動向に、一層注目が集まりそうだ。(安藤歩美)