文化祭や運動会で見る受験校選び「深い」ポイント 説明会での「うちは自由な学校です」が本当かを見極める機会
受験シーズンが近づいてきた。入試に向けて文化祭や運動会の様子を、学校選びの参考にしている親子も多いだろう。生徒たちの雰囲気を間近に感じられる機会には間違いないが、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は「文化祭や運動会の運営のされ方には、その学校の自由と規律のバランスが表れている」と語る。“学校取材のプロ”ならではの視点とは? 【画像】学校選びの参考に!運動会(体育祭)や文化祭の運営方法からわかる「自由な学校かどうか?」 ■「自由」「生徒主体」の意味は学校によって違う 中学受験をして入るような学校なら、どんな学校であっても学校説明会では「うちは自由な学校です」と言います。「行事は生徒主体で行います」とも必ず言います。嘘ではないと思います。でも、それぞれの学校の自由の基準は異なりますし、生徒主体の意味する範囲も異なります。
では実のところをどこで見極めればいいのか。文化祭と運動会に注目してほしいと思います。 ただし、文化祭や運動会の当日の雰囲気をただぼーっと味わっても何もわかりません。たしかに生徒たちの息づかいに直に触れることができる貴重な機会ではありますが、これらはあくまでも「ハレの日」です。つまり非日常です。学校の素顔が見られるわけではありません。 むしろ文化祭や運動会の当日よりも、そこに至るまでの段取りに学校の個性が表れるのです。もっと具体的にいえば、「自由と規律」のバランス感覚が、文化祭や運動会の段取りに如実に表れます。非常に大雑把にいうと、文化祭は「個」を表現する場であり、運動会は「組織」を表現する場です。
文化祭では生徒たちそれぞれのこだわりや興味・関心が表現されます。すなわち多様な個性を自由に発揮するイベントです。一方、運動会は勝利という目的に向かって組織で一致団結するイベントです。ある意味で軍隊的な規律が求められますし、騎馬戦、棒倒しなどはまさに戦(いくさ)をモチーフにした競技ですよね。一説には、日本の運動会の起源は海軍兵学校だったともいわれています。 ■運動会の代わりに球技大会をする学校も 規律のとれた組織だった運動会を行う学校は、「組織で動くときには組織の統率を優先する」という価値観が強い学校です。それが必ずしも没個性を意味するわけではありませんが、組織のために個が何をできるのかを突き詰める場として運動会があります。