オーストラリアで働く21歳男性が経験した“地獄のバイト”。現在は掃除の仕事で月収約30万円に
オーナーからの八つ当たりが止まらない
ククさんの精神状態をすでに把握しているはずのオーナーだが、その後も八つ当たりは続く。 「自分がグリルを担当していた時にオーナーが来て突然『もういい俺がやる!』って言ってきたんです。忙しい時間帯だったのでイラついていたのかもしれないですが、揚げ物なんてタイマーを設定したら後は待つだけ。 つまり誰がやっても同じ時間に仕上がるわけで……。なのに他の従業員がやっている時は一切何も言わないんです」 一緒に働く従業員は日本人の女の子とオージーのベテラン女性たち。明らかにククさんにだけ当たりが強いその状況は周囲から見ても一目瞭然だったというが、誰かに相談しなかったのか。 「オージーの中には親切にしてくれる人もいる一方で、“日本人アンチ”のような人もいました。 特に、お局的な最年長の女性がアクセントも強いし言い方も違ったりする人だったんですが、僕が言葉を理解できないでいるとかなりイラつかれました。オーナーに『彼よりいい人がいるんじゃないか?』って裏で話してるのを何度も聞きましたよ。 また、後に聞いた話によるとオーナーは元々日本人の女の子を雇いたかったみたいで。男の自分が来たけどまあ日本人だからってことで採用してくれたようなんです。だから日本人の女の子たちにはすごく優しくて、自分の状況を気軽に相談できる感じではなかったですね」
職に就いたはずなのに変わらない困窮状態
ちなみに職にありつけたのにもかかわらず当時のククさんの食事は依然として困窮していた。なぜなら当時のシフトは週に3日。カフェでは賄いも出ず、極限状態に至った際の彼は、たまに客の食べ残したパンケーキなどを食べて食費を浮かせていたという。 「今考えるとかなり悲惨な状況でしたが、シフトは週に3日で一日最大5時間しか入れなかったし、時給は30分刻みだったので、例えば45分に終わった際にはその15分の賃金は発生しなかった。 家賃や交際費を引いたら月の食費に使えるのは8000円くらいでしたね。でも一緒に住んでいた大学の友人は週に最高47時間も働いていて、レフトオーバーになった寿司も持ち帰って夕飯の足しにしていた。服や靴もどんどん豪華になっていたのでとても羨ましかったです」