【保存版】ミシュラン130年の歴史はこんなに凄い、世界初ラジアルタイヤほか革新尽くしだ
センターとサイドで異なるコンパウンドを1本のタイヤに融合
続いて、1994年に登場した三つ目の革命がデュアルコンパウンドテクノロジー(2CT)だ。 2CTが登場する以前は、タイヤ一本に同じコンパウンドが使用されてきた。一方、2CTはショルダー(サイド部)とセンター部のラバーコンパウンドを使い分けることで、最適な特性が得られる。 例えば、直進中に接地するセンターには、急加速や減速時にかかる強い力に耐えられるよう硬めのコンパウンドを使用。一方、コーナリング時に接地するショルダーにはそれほどストレスがかからないため、柔らかめのコンパウンドでグリップ力を向上可能だ。 ミシュランが世界GP500クラスにデュアルコンパウンドテクノロジーを導入したのは1994年。前述のシリカと合わせ、1994~1998年に5年連続チャンピオンに輝いたミック・ドゥーハンの勝利に貢献することとなった。 そして2005年のプロダクションレース向けタイヤ「ミシュランパワーレース」から市販品にフィードバックを開始。グリップと耐久性を兼備するデュアルコンパウンドは今やメジャーな技術となり、ライダーの走りを支えている。もちろんミシュランでも2024年発売のPOWER 6やPOWER GP2には2CT+が採用されている。
【まとめ】常勝レースの技術を市販品にフル注入、バイクの進化に貢献してきた
圧倒的な技術革新により世界GPの最高峰クラスでは、1981年から2006年までミシュラン使用のライダーがほぼ全てチャンピオンを獲得してきた。例外は1984年と1991年のみなので、まさに驚異的な戦績である。2008年をもってミシュランはGPを撤退したが、2016年に復帰。再び数々の栄光を打ち立て続けている。 これまで見てきた通り、レースの世界で培われた技術は市販タイヤにも遺憾なく還元されてきた。ミシュランの技術がなければ、現在のバイクはここまで進化していなかったに違いない。 ミシュランは1889年の創業以来「モビリティの継続的発展に貢献する」をミッションに掲げてきた。バイクを取り巻く環境は大きく変わろうとしているが、今後もバイクをより安全に、便利に、楽しくする革新技術の開発に期待したい。
沼尾宏明
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