本質を問う「Why型質問」が苦手な日本人の大問題 本質を問う「Why型質問」が苦手な日本人の大問題
目に見える事象(What)の「向こう側」には、必ず目に見えない理由や背景(Why)があります。ビジネスコンサルタントの細谷功氏は、Whyを考えることこそが「思考する」ということであり、Whatのレベルで「言われた通り」「マニュアル通り」「前例通り」の行動をとるのは思考停止でありと指摘します。では、どうすればWhyのレベルで考えることができるのでしょうか? 細谷氏の著書『Why型思考トレーニング』の内容を一部抜粋・再構成のうえ、ご紹介します。
■「質問できるのは今のうちだけだぞ」の真意は? OJTということで一つ思い出す言葉があります。それは、新入社員に対して使われる言葉です。私もよく言われた経験がありますし、逆に言った経験も何度もあるような気がします。 その言葉とは、「質問できるのは今のうちだけだぞ」というものです。読者の皆さんにも心当たりがあるのではないでしょうか。 大体新入社員というのは、仕事のはじめについた先輩から多かれ少なかれこの種の言葉をかけられます。その意図というのは「後になったら恥ずかしくて聞けなくなるから、今のうちにたくさん聞いておきなさい」ということですが、皆さんはこの言葉の本当の意味を考えてみたことがありますか? 「なぜ」質問は今しかできなくて、後ですると恥ずかしいのでしょうか。
私は、日本のビジネスの現場が伝統的に行ってきたのがWhat型の人材育成であることを非常に端的に物語っているのがこの言葉だと思っています。 実は職場での何気ない「質問」にもWhat型の質問とWhy型の質問の2通りがあるのです。 まずWhat型の質問とは、文字通り「○○って何ですか?」とか、「○○ってどこにありますか?」、あるいは「××さんて誰ですか?」といった、正解があってそれがたいていの場合簡単な名詞か短文で答えられる、言い換えれば選択式のクイズにできるような質問のことです。