本質を問う「Why型質問」が苦手な日本人の大問題 本質を問う「Why型質問」が苦手な日本人の大問題
■「当たり前の質問」が、実は深いWhy型の質問になる 例を見てみましょう。 例① What型質問① 「空の色は何色?」 Why型質問① 「空が青いのはなぜ?」 例② What型質問② 「うちの会社の社長は誰?」 Why型質問② 「うちの会社の社長が○○さんなのはなぜ?」 ①、②とも、What型の質問を改めて身の回りにすれば「あの人一体どうしちゃったの?」ということになるかと思います。 ではWhy型の質問はどうでしょうか?
①については、物理現象などについてかなりの理解がなければ説明することはできないでしょう。「空が青い」という誰でも知っている事実に関しての「Why?」という投げかけは、実に深いものになります。 続いてWhy型質問②を見てみましょう。 職場でこの質問がされるとすれば、恐らく「あの人は社長に適任ではない」ことの反語表現として用いられることが多いのではないでしょうか。ここでは「文字通りの」意味を考えてみると、極めて本質的なことが浮かび上がってきます。
「なぜ○○さんが社長なのか?」を問うてみることはその会社の出自やカルチャー、あるいは今の置かれた状況をあぶり出すことになります。その人は創業者なのか? そうであれば「なぜ」今の事業を始めたのか? 「なぜ」別の事業ではだめだったのか? その人は総務・人事・企画部門出身なのか、あるいは営業部門出身なのかの問いからは、その会社が「管理中心」の大会社なのか、あるいは「営業中心」の会社なのか、はたまた技術部門出身であれば技術をコアとする会社なのかといったことがわかるでしょう。
そして現社長は「花形部門」を歩いてきたのか、あるいは「裏街道」を歩んできたのかを見れば、会社が直面する課題や向かおうとしている方向性(既存路線の延長なのか、抜本的なパラダイムシフトが必要なのか)もわかってくるでしょう。 このように、Why型の質問というのは一見誰もが疑いもしない疑問であればあるほど本質的な疑問を投げかけ、課題の深層に入っていくことができるのです。 今私たちに求められているのは、こういった「Why型の当たり前の質問」なのではないかと思います。日本人は学校教育時代から質問が苦手です。これは伝統的What型教育のなせるわざであるところが大きいと思いますが、Why型思考を身につけていく上で必ず越えなければならないハードルではないかと思います。