525万円払うはずだった所得税が50万円に…『金妻』感あふれる自慢の我が家を泣く泣く売却した62歳男性が小躍りしたワケ【CFPが解説】
家の売却では、売却金額で住宅ローンが完済できることが前提
家の売却方法には「売り先行」と「買い先行」があります。 売り先行とはまず家を売却した後に新しく住む家を探す方法です。売却額から購入金額の目安がつけられるため、ゆっくりと家を探せる点がメリットですが、新しい家が見つかるまでの仮住いが必要です。さらに、引っ越しが2回になってしまい、その分費用が発生します。 「買い先行」はまず新居を購入して引っ越し、その後住んでいた家を売却する方法ですが、売却する家にローンが残っている場合は二重ローンになってしまい、家計に負担がかかります。 家を売却するときには住宅ローンを完済し、金融機関に抵当権設定の手続きを行ってもらわなければなりません。抵当権が設定されているままでは家を売却することはできないのです。そのため、今の家にまだ住宅ローンが残っているなら、売り先行で行うことをおすすめします。
売却金額によっては所得税の対象になることも
家を売却した際には、売却金額によっては利益が出るケースもあります。その際にはその利益分を譲渡所得として申告し、利益に応じた所得税を納めなければなりません。 実際、信夫さんの家と土地は土地価格高騰の影響もあり、合計6,000万円で売却できました。そして、家の取得費および売却費用は2,500万円だったので、所得金額は「売却金額-(所得費+売却費用)」、つまり6,000万円-2,500万円=3,500万円です。 信夫さんの譲渡所得は長期譲渡所得*1に該当するため、15%の税率で計算され、525万円の税金を払わなければなりません。 ただ、家を売却して利益がでたときには以下の控除制度が利用できます。 1.3,000万円の特別控除*2 3,000万円の特別控除とは、要件を満たすことで最大3,000万円の特別控除が適用されるもので、この制度を使えば「6000万円-2,500万円-3,000万円」となり、課税所得金額は500万円まで下がり、所得税額も525万円から75万円まで下がります。 2.10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例*3 家を売却した年の1月1日の時点で所有期間が10年以上ある場合は、譲渡所得の税率が軽減されます。 具体的には本来なら15%かかる税率が10%まで減らせるのです。この制度は3,000万円の特別控除と併用できるため、信夫さんが最終的に納める譲渡所得税額は、500万円×10%=50万円となります。 525万円と50万円。その差は475万円です。知っているのと知らないのとではここまでの差が出てくるのです。 家を売却して所得税の課税対象となったときには、これらの控除や特例を利用して納める税額を少なくすることを考えましょう。また、家を買い換える際には「特定居住用財産の買換えの特例」も利用できますが、税金を繰り延べるだけの仕組みであることや、3,000万円の特別控除や軽減税率の特例とは併用できないことから、信夫さんは3,000万円の特別控除を軽減税率の特例を併せて利用することにしました。