常本佳吾が海外移籍1年目で示した“勝者の心構え”「タイトル獲得が使命と思ってスイスに来た」
「一勝できたら、またチームがガラッと変わる」
なお筆者もスイスカップ決勝戦の取材申請を出していたが、協会からは残念ながらはじかれた。どの国もそうなのだが、国内カップ戦決勝では国内メディアが何よりも優先される。 優勝カップを手にする常本を見たかったし、その言葉を現地で聞けなかったのは残念ではある。それでもそこにたどり着いた足跡を振り返ってみると、その一歩一歩が持つ意味が浮かび上がってくる。うまくいかないとき、悩んでいるとき、どう向き合うべきなのか。何をすべきなのか。そこには、成功する人に共通する確かな心構えがある。 「やっぱり焦れずに自分たちのサッカーをやり続けること。下を向いてないで、すぐに切り替えて。そうすれば何かの拍子に変わるものだと思います。一勝できたら、またチームがガラッと変わる。その何かのタイミングっていうのを自分たちできっかけ作りをしていかなきゃいけない」 連敗していた悪い波を断ち切り、2位奪取のチャンスを逃した落胆を乗り越え、シーズン最後の一戦で大きなものにたどり着いた。きっとこの1年間で常本がつかんだものは、来季以降のさらなる成長にとっての大きな礎になったのではないだろうか。 ここがゴールではない。常本の視線はさらに先を、さらに上を見据えている。 <了>
インタビュー・構成=中野吉之伴