常本佳吾が海外移籍1年目で示した“勝者の心構え”「タイトル獲得が使命と思ってスイスに来た」
自身初、セルヴェットにとって23年ぶりとなる“優勝”
海外でプレーするためにはピッチ上だけではなく、ピッチ外での順応も必要になる。 スイスは欧州の中でとても治安がいい国だし、もともと多民族国家なので、外国人選手に対する受け入れ態勢も整っている。とはいえ言語も住環境も食事も生活リズムも異なる中で、自分らしさを出すことは簡単ではない。その中で移籍後1年目からチームにフィットし、中心選手として活躍しているのは、高く評価されるべきことではないだろうか。確固たる自覚をもってスイスへ渡った常本の姿がそこにはあった。 「移籍金を払ってセルヴェットは取ってくれたし、助っ人としてきているという自覚もあります。チームに貢献しなきゃいけないなと思っていました。ベストイレブンに選ばれるのが僕の目標じゃない。タイトルを獲得することが使命と思ってスイスに来た。今日の結果含めて、悔しい気持ちはたくさんあります。もっと個人として成長したいです」 5月20日に行われた第37節、首位ヤングボーイズとの試合を0-1で落とし、UEFAチャンピオンズリーグ・プレーオフ出場権獲得となる2位の可能性がなくなった後、常本が静かに、でもギュッと言葉に力を込めて語っていた。鋭い眼光とともに。リーグでは3位に終わったが、6月2日にはリーグ2位のルガノとのスイスカップ決勝が控えていた。 「(カップ戦の)タイトルを取るために次のリーグ戦での対ルガノは、相手に“圧をかける”という意味では大事な試合になると思います。2連勝して、カップ戦は必ず取りたいですね。個人としては初のタイトルがかかっているので」 ヤングボーイズ戦後に常本はそう力強く答えていたが、その言葉通り第38節ルガノとのアウェイ戦を2-0で勝利すると、スイスカップ決勝では両チームともノーゴールのままPK戦までもつれ込む神経戦を見事に制した。この日スタメンフル出場した常本は、セルヴェットにとって23年ぶりとなるスイスカップ優勝に大きな貢献を果たしたのだ。