3度のがんと共に生きてきた20年間…今は「有病長寿」の時代=韓国(2)
[ファンボ・ヨンの『超高齢社会の質問』」
(1から続く) ■健康寿命測定をめぐる百家争鳴 ただし、保健医療界は健康寿命に対する過度な心配を警戒する。測定方式によって結果値が変わるためだ。統計庁の社会調査は回答者の回答に依存するため、軽症の慢性疾患があるだけでも、健康ではないとみなされる。健康診断で高血圧や糖尿病などの慢性疾患を早期に発見し、適切な処方と管理を受ける人が含まれている可能性があるという意味だ。韓国の高齢者の86.1%は慢性疾患を患っている。3つ以上の診断を受けた人も35.9%にのぼる(2023年高齢者実態調査)。同じ脈絡で、女性が男性より健康な期間の割合が低い理由が説明されたりもする。「多くの研究で健康により積極的に関心を持ち、医療関係者に症状と兆候を伝える女性とは異なり、男性は医療機関の訪問を疾病の最後の段階まで先送りする姿を見せる」(統計開発院)ということだ。 このため、保健医療界は世界保健機関(WHO)が国際比較に使用する健康寿命をより信頼している。病気や障害で健康を失った期間を除く方式だが、特定の健康状態および病気の重症度を計算して加重値を決める。完全な健康状態(0)と死のような状態(1)の間で値をつける。蔚山大学医学部のチョ・ミンウ教授(予防医学教室)は「がんを患っている人と風邪を引いた人の重症度が違うため、有病期間に加重値を反映する」と説明する。このような算式によると、健康寿命は2019年基準で73.1歳まで延びる。 韓国政府は国民健康増進計画に活用するために、別途に国内研究陣が韓国人の特性に合わせて算出した健康寿命指標を使う。国民健康保険公団の資料を主に活用するという点で、もう少し現実に近いということだ。この基準に従っても、健康寿命は2008年の68.9歳から2021年には70.5歳へと小幅だけ延びた。2030年までに73.3歳に引き上げるというのが政府の目標だ。 ■自分でつけた健康点数は? OECD最下位グループ 韓国人が特に主観的健康評価で低い点数をつけるという点にも注目する必要がある。疾病管理庁は国民健康栄養調査の際、「主観的健康認知率」を測定する。自分の健康状態を「良い」あるいは「非常に良い」と答えた人々の割合だ。2009年には40%台を維持していたこの割合が2022年には36.2%に大幅に下がった。65歳以上の高齢者の主観的健康認知率も27.7%(2022年)に止まっている。このため、政府もこの指標にいつも敏感に反応し、戦々恐々としている。生活の質の測定で主観的指標の重要性が大きくなったためだ。政府はOECD加盟国の中で最下位を記録した後、2021年の比較からはもう少し高い評価が出た統計庁指標に提出資料を変えたこともあった。 ソウル大学保健大学院のキム・チャンヨプ教授は、韓国人の「健康疎外」現象を原因として指摘する。「健康は本人の予防努力とこれを支援する社会システム、医療サービスへのアクセサビリティなどで形成されるが、韓国の場合は医療に対する依存度だけが過度に高い」ということだ。例えば、風邪を引けば、他の主要国では「具合が悪ければ休む」という趣旨から傷病休暇を取って体をいたわる。一方、私たちは「体調が悪くても出勤」した後、病院に行って薬の処方を受けるやり方だ。長い労働と短い睡眠、深刻な高齢者貧困、高い自殺率などの社会構造は、一人ひとりが自分の健康を守ることを妨げる要因だ。 チョ・ビョンヒ教授は「期待寿命が高い国は主観的健康水準が良好で幸福度順位が高い方だが、韓国は例外的傾向を見せる」とし、「競争的社会構造が人生の満足度を低下させ、主観的健康を低く評価するように導く」と指摘する。これについて、治療中心から予防と健康増進中心に社会構造が変わるよう、政策的な後押しが必要だと専門家たちは提案する。 ファンボ・ヨン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )