景のある「リー101」だけを徹底的に探して出合ったこの一本!
常に独自の視点で独自の音楽を生み出していくDJとして世界中で活躍する田中知之(FPM)さん。音楽のみならずファッション、時計、クルマ、グルメとオールジャンルでの博覧強記を駆使した田中流「男の定番」をご紹介する連載です。 田中知之(FPM)の「DJ目線で指南するちょいウラな定番」
常に独自の視点で独自の音楽を生み出していくDJとして世界中で活躍する田中知之(FPM)さん。音楽のみならずファッション、時計、クルマ、グルメとオールジャンルでの博覧強記を駆使した田中流「男の定番」をご紹介する連載です。
■ 1950年代のリーの101z
しかし、昨今のヴィンテージデニムの人気は、90年代後半のあの熱狂をも軽く凌駕し、とんでもないバブルの様相を呈しているが、そのバブルを牽引するリーバイスの501が、ジーンズにおける定番中の定番だとすると、このリー101が裏定番と言ってしまっても良いかと思う。 品番末尾のZはジッパーのZ。ちなみにBと付くのがボタンフライのモデル。この個体は1950年代中頃に製造された、いわゆる「センター赤タグ」と呼ばれる一本だ。ジーンズ好きには有名な話であるが、リーバイスのデニムは綾目が右下に向かう右綾織りなのだが、リーのデニムは左下に向かう左綾織り。縦糸はインディゴで染色してあり、横糸は無染色。
1970年代くらいまでのデニム糸は太さが均一でなく、織り機の性能からも織りムラが多く発生し、その織りムラから縦糸が露出し凹凸ができてしまう。露出した縦糸のインディゴが洗濯や摩擦で退色してしまうため、縦方向の線状に色落ちする、いわゆる縦落ちが発生するのだ。生地を編む単糸は左撚りで、撚りと逆方向の右綾で織ると生地に緩みが生じ、ざっくりとした風合いになる。
101には珍しくヒゲも出ている。すそ辺りの色残りとひざ辺りの縦落ちの濃淡のコントラストも良い。レザーパッチもきれいに残る。なぜリーが左綾なのかは明らかになってはいないのだが、恐らくライバルが右綾ならば我が社は左で、と逆張りのディレクションになったのではないかと。ちなみに第二次世界大戦中には右綾織りのデニムを使用したリーが存在する