数字で見る朗希の凄さ 直球は大谷以上&フォークは千賀級…MLBで成功する可能性は
渡米前3年間の成績 大谷、山本、千賀を超える奪三振率11.87
高校時代から160キロ超えのストレートを投げ込み、ドラフト会議では4球団が1位で入札。20歳という若さでNPBでは28年ぶりとなる完全試合を達成するなど、入団当初からプロ野球の話題をさらったロッテ・佐々木朗希投手。このオフにはポスティングシステムを利用し、目標としていたメジャーリーグへの挑戦を決めた。そこで今回、現在メジャーで活躍している日本人投手のNPB時代と比較しながら、佐々木がメジャーの舞台で成功する可能性を探っていきたい。(文章、表中の数字はすべて2024年シーズン終了時点) 【写真】大胆タンクトップが「美しい」 朗希と“比較”される剛腕のガールフレンドに反響 最初に、あらためて佐々木の特徴を考えてみる。上記の表は、佐々木と現在メジャーで活躍を続ける大谷翔平投手、山本由伸投手(ともにドジャース)、千賀滉大投手(メッツ)の渡米前3年間のNPB成績をまとめたものだ。佐々木は4人の中で最も高い奪三振率11.87をマークしているのに加え、与四球率は1.96と2番目に低い数値を記録。NPB屈指の奪三振能力を誇りながら、制球面で崩れにくい安定感も併せ持っているのだ。1イニングあたり何人の走者を出したかを示すWHIPで0.86を残しているのを見ても、佐々木は他の3投手と比べても遜色ない成績を収めているのが分かるだろう。 続いて、1イニングあたりの平均投球数を表すP/IPを見ていきたい。一般的に奪三振率が高い投手は、打たせて取る投球が持ち味の投手に比べて球数が増えやすい傾向にある。その中で直近3年の佐々木のP/IPは14.83と、他の投手に比べて少ない球数でイニングを終えられている。前述した与四球率やWHIPの数値が示すように、とにかく走者を許していないことが球数の少なさにつながっているのだろう。
究極の“省エネ”投球 三振を少ない球数で効率良く量産
次は1打席あたりの平均投球数を示すP/PAを三振に打ち取った打席に限定して見ていく。これは三振を奪うまでに要した平均投球数を表しているが、佐々木は同条件のP/PAで大谷らよりも低い4.61をマーク。佐々木は単に走者を出さないというだけでなく、より確実に打者を打ち取れる手段である三振を少ない球数で効率良く量産しているピッチャーなのだ。 これらの省エネピッチングを実現するには、持ち球の精度の高さも必須となるはず。ここからは佐々木の武器である球種のデータを掘り下げていく。 まずは生命線である直球を、渡米前3年間における投球割合が同じく50%を超えている大谷と比較していこう。今季の佐々木は例年よりも球速を落としている傾向が見受けられたが、それでも直近3年間の平均球速は157.8キロという異次元の数字をマークしている。また、ストライク率は大谷よりも高い72.0%を記録。2024年パ・リーグ投手の直球ストライク率の平均が66.8%だったことを踏まえても、佐々木の速球は球界トップクラスの威力を備えながら、高い精度を誇っていることが分かるだろう。 高いストライク率を記録している直球をもう少し掘り下げてみよう。ゾーン別の投球割合を見てみると、大谷は直球をストライクゾーン内に投じる割合が49.7%だったのに対し、佐々木は59.6%をマーク。佐々木は力強い直球をシンプルにゾーン内に集めることにより、高いストライク率を残せていたと考えられる。また、ストライクゾーン投球時の結果内訳を見てみると、佐々木の直球は見逃し率が33.0%を記録。直球をゾーン内に多投しながらも、バッターは手を出しにくいという特徴が出ていた。これは直球の威力だけでなく、もう一つの武器であるフォークが影響しているだろう。