コロナで陰をひそめていたインフルエンザが大暴れ!免疫力を上げるには?外に出て積極的に紫外線を浴びましょう
新型コロナウイルス感染がようやく落ち着いたと思ったら、夏以降はインフルエンザがかつてない規模で大流行。この冬を元気に乗り切る免疫力の高め方をアドバイスします(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》) * * * * * * * ◆コロナ禍の影響で日本人の免疫力が低下 新型コロナウイルスの猛威のなかで影を潜めていたインフルエンザウイルスが大暴れしています。こんなに感染者が増えているのは、なぜなのでしょうか。 「インフルエンザが定期的に流行していると、ウイルスにさらされて感染した人は免疫を獲得し、次から発症しない、または軽く済むようになるのですが、こうした免疫の記憶は、感染の機会がないと時間とともに薄れます。コロナ蔓延中は、インフルエンザの流行が抑えられる“ウイルス干渉”という状態でした。そのため、コロナが落ちついた今年の夏からまず免疫がない子どもの間でインフルエンザが大流行。そこから、免疫力が薄れた大人へと広がっているのです」と話すのは、循環器専門医で免疫に詳しいおおつか医院理事長の大塚亮先生です。 加えて、コロナ対策で外出を控えていたことも免疫力の低下に影響していると指摘します。 「免疫機能を正常に働かせる調整役となるビタミンDを活性化させるためには、紫外線を浴びることが必要です。今年発表された東京慈恵会医科大学の大規模調査によると、日本人の98%がビタミンD不足であることが明らかになっています。これは、コロナ禍で外出が減ったからでしょう」(大塚先生。以下同)
◆自律神経のバランスを整えて免疫力を高める 流行を乗り切るため、いま一度、免疫の仕組みをおさらいして、免疫力を高める生活を心がけたいところ。 そもそも免疫とは、ウイルスや細菌といった異物を体内へ侵入させない、体の防衛システムのこと。病原体を丸ごと食べる「マクロファージ」や病原体に感染した細胞を殺す「Tリンパ球」といった免疫専門の細胞たちが協力することで成り立っています。 免疫細胞が多く存在しているのは、鼻や口から肛門に至る消化管を覆う粘膜です。粘膜にいる免疫細胞は、防衛部隊の最前線として、空気や飲食物とともに体内に入り込んでくる病原体をブロックしたり、退治したりしています。 「しかし、胃酸でも死滅しなかった強い病原体は、腸に送り込まれます。食べ物と一緒に有害な物質まで体内に入れないよう、腸には免疫細胞の約70%が集中し、体を守っているのです」 さらに、免疫細胞は血管やリンパ管を通って全身を移動し、パトロール。 「免疫がしっかり働くには、血液やリンパ液の流れがスムーズであること、それらの流れをコントロールする自律神経のバランスが整っていることが大切です」
大塚亮