「幸せな家族の日常がめちゃくちゃに...」忘年会帰りの飲酒運転で親子2人はね死傷 男は「ジョッキでビール8杯」その後もスナックやバーでハシゴ酒 遺族が法廷で憤り
忘年会・新年会のシーズン。無責任な飲酒運転が、またも人命を奪った事件の裁判を振り返る。犠牲となったのは、全盲で白杖をついて歩く息子に付き添っていた母親だった。 【画像を見る】判決後に涙こらえながら語る全盲の大久保孝之さん 2023年の年末に大阪府岸和田市で起きた、凄惨な飲酒運転死傷事件。裁判で被告の男が、“新しく買った車を見せたい”などの理由で忘年会に車で向かい、4軒の飲食店で浴びるように飲酒していた事実が明らかになった。 「幸せな家族の日常がめちゃくちゃにされた」遺族の痛切な陳述も法廷に響いた。
白杖をついて歩いていた息子と母親に対向車線から突っ込み…
2023年12月30日の朝、大久保春江さん(当時82)とその息子・大久保孝之さん(51)は、大阪府岸和田市の道路の路側帯を歩いていた。孝之さんは全盲で、白杖をついて歩き、春江さんが寄り添っていた。2人はJR阪和線に乗るために、駅に向かうところだった。 そこに、被告の男(31)が運転する乗用車が、対向車線から時速約56kmで突っ込んだ。2人ははねられ、春江さんは死亡。孝之さんも外傷性くも膜下出血や肺挫傷などの重傷を負った。 捜査で被告は飲酒運転をしていたことが判明。危険運転致死傷の罪で逮捕・起訴された。 2024年9月18日、大阪地裁堺支部での初公判。罪状認否で被告は、小さな声で「間違いありません」と起訴内容を認めた。
居酒屋・スナック2軒・ダーツバー…4軒で飲酒 1軒目でビールをジョッキ8杯
検察官・弁護人の冒頭陳述や、証拠調べを総合すると、被告は事故前日の夜、自宅を出て車で知人らとの忘年会に向かった。1軒目に居酒屋、2軒目と3軒目にスナック、4軒目にダーツバーと、計4軒の飲食店で飲酒。1軒目ですでにジョッキで8杯ほどのビールを飲み、その後もビールや焼酎を飲んでいたという。 そして、車で帰宅する際に今回の凄惨な事故を起こした。呼気検査によれば、事故時に被告は呼気1L中0.69~0.85mgのアルコールを体に保有していたと考えられるという。酒気帯び運転の基準は0.15mg/Lであり、実にその4倍以上ということになる。