「石破政権は確信犯」トランプ氏にケンカ売った〝岩屋訪中〟 王毅氏と3時間の外相会談「最重要パートナーは中国」と言ったも同然
米司法省は11月、日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐって、中国企業「500ドットコム」(現ビット・マイニング)の元最高経営責任者(CEO)を海外腐敗行為防止法違反で起訴したと発表した。同社は、IRを開設するため、日本の国会議員らに約190万ドル(約2億9000万円)の賄賂を支払っていた。起訴状では国会議員らの名前は伏せられていた。
この事件をめぐっては2019年12月に東京地検特捜部が摘発し、日本での捜査は終結している。一部メディアで岩屋氏の名前も報じられたが、岩屋氏は国会で「中国企業から金銭を受け取ったなどという事実は断じてない」と答弁している。
東京地検特捜部と連携して捜査していた米司法省が、事実関係について情報を握っていないわけがない。法的責任の有無はともかく、米国にとっては、この問題も岩屋氏と石破政権を評価する材料になっているだろう。
■「石破政権は確信犯」と思われた
トランプ次期大統領は、共和党のマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に、第1期政権で大統領補佐官を務めたピーター・ナバロ氏を大統領上級顧問に、共和党のデビッド・パデュー元上院議員を駐中国大使にそれぞれ指名するなど、対中外交の陣容を「対中強硬派」で固めている。
これに対して、石破政権がわざわざ1月20日の大統領就任式直前というタイミングを選んで、中国に媚びを売るような外相訪中を断行したとあっては、トランプ次期政権にケンカを売ったも同然だ。王氏と握手した際の岩屋氏の、いかにもうれしそうな微笑がそれを物語っている。
トランプ氏の政権移行チームは「石破政権は『確信犯』だ」と思ったのではないか。
こうなると、石破首相が就任式前にトランプ氏と会談できたとしても、成果は期待できない。むしろ、持論の「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」を持ち出したりすれば、「どこまで日米同盟を中国に売り渡す気なのか」と、ガツンと一発やられる可能性すらある。