トランプ復権の幕開け…強大な権力を手に初日から過去最多規模の「大統領令」を連発か
移民や教育、エネルギー政策まで劇的な政策転換か
大統領令に関するトランプ氏のこれまでの発言を振り返ると、移民や教育、エネルギーまで幅広く、国内外の政策が対象となる。 不法移民の強制送還に向けては、メキシコとの国境に軍を派遣し、国境の壁の建設を再開する計画も掲げる。さらに両親に関係なく、アメリカで生まれた人に市民権が与えられる出生地主義の廃止も検討している。 選挙戦で直ちにインフレを収束させると訴えたトランプ氏は、「インフレを阻止し、物価を下げるためにすべての閣僚や政府機関に対し、あらゆる手段と権限を行使する大統領令に署名する」とも述べている。貿易面では、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課し、中国に対しても10%の追加関税を課す大統領令に署名する構えだ。 陣営の関係者によると、トランプ氏は大統領令によって、政府の政策を劇的に転換させる思惑があり、「初日に大きな話題を作ることで1期目よりも迅速に行政権を行使する狙い」があるという。 さらに、トランスジェンダー教育を推進する学校への連邦政府の助成金の削減、ワクチンやマスクを義務付ける学校には「1銭も与えない」とも言及している。 1次政権でイスラム教徒が多数を占める7カ国からの入国を禁止した大統領令を復活させることも明らかにしている。 選挙戦で「掘って、掘って、掘りまくれ」と繰り返したエネルギー政策では、国内の石油と天然ガスの生産量を増やすと強調し、洋上風力発電計画の中止を誓った。第1次トランプ政権で離脱し、バイデン政権で復帰した温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの再離脱に向けた準備も進めているという。
大統領令以外でも「初日に、迅速に行動」
さらに、大統領令に署名せずとも大統領の権限で実行できるのが恩赦だ。バイデン大統領は、2024年12月、銃を不法に購入するなどし、連邦犯罪に問われていた息子のハンター氏への恩赦を発表したほか、一日で実施した減刑、恩赦としては最大規模となる、約1500人への減刑と39人の恩赦を発表した。 トランプ氏は、2021年の連邦議会襲撃事件で有罪判決を受けた支持者らについて「就任初日に恩赦」を与えることを明らかにしている。この事件では1500人以上が逮捕された。司法省によると、そのうち200人以上が不法侵入や警察官への暴行など、さまざまな罪で有罪評決を受けている。トランプ氏は「初日に迅速に行動する」と言及していて、恩赦の規模も注目となる。 さらに「早期の戦争終結」を訴えるロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢への対応も焦点となる。トランプ氏は、第2次政権発足から100日以内に結果を出すよう、閣僚らに指示すると話している。まずは2年後の中間選挙を見据えて、不法移民の強制送還など、政策の軸足が国内に置かれるのではないかとの見方が強い。