フィンランドの国民食「カレリアンピーラッカ」…コメを包み焼きにしたパイ、国難を象徴する郷土料理です
カレリア地方はまた、フィンランド文化発祥の地とされる。作曲家ジャン・シベリウスは、ロシア統治時代にフィンランドの独立を願ってやまず、祖国と民族への思いを込めて「カレリア組曲」(1893年)を作っている。
しかし、フィンランドは1940年、カレリア地方の大部分を割譲せざるを得なかった。圧倒的戦力で侵攻してきたソ連軍との死闘の末、独立を守るために迫られた苦渋の選択だった。
一地方の郷土料理にすぎなかったカレリアンピーラッカが、国民食とまで言われるようになったのは、ただおいしかったからだけではない。この国の苦難の歩みの象徴なのだ。
フィンランド人なら、誰もが子供の頃にカレリアンピーラッカを作った思い出があるという。このパイと共に、民族の記憶が受け継がれてゆくのだろう。
国内外の総支局長が、地域の自慢の味を紹介します。