停電でも電気が復旧しなくなる…「技術者不足」の悲惨すぎる未来
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。 【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。
発電方法を選んでいる余裕はない
政府のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議が、脱炭素社会の実現に向けた基本方針をまとめ、原子力発電所の建て替えや原則40年としてきた運転期間の延長を打ち出した。 政府は東日本大震災を受けて原発の新増設や建て替えを「想定しない」としてきていたが、基本方針では「将来にわたって持続的に原子力を活用する」と明記しており、百八十度の政策転換である。 ロシアのウクライナ侵攻によって世界はなりふり構わぬエネルギー獲得競争に突入した。もはや日本も「きれい事」を言っていられなくなったということだ。 火力発電所は老朽化して休止・停止が相次ぎ、ロシアからの液化天然ガス(LNG)の供給もいつ途絶するか分からない情勢にある。昨夏に続き、今冬も電力不足に伴う大停電の不安がぬぐえない。 他方、異常気象による自然災害は頻発しており、地球温暖化対策も待ったなしだ。脱炭素とエネルギーの安定供給を同時に成立させるには原子力への回帰しかないという判断である。 原発に対する国民の不信感は根強いが、電気代などの相次ぐ値上げは企業活動や国民生活を直撃しており、「拙速」や「強引」との批判を覚悟の上で原発の積極活用へと大きく舵を切ったということであろう。 言うまでもなく、エネルギーは社会生活の基盤中の基盤である。多くの機器が電化された現在、とりわけ電気の安定供給は国家としての最重要課題である。切羽詰まった日本に発電方法を選んでいる余裕などないというのが現実だ。