VW、コスト削減交渉で労使の溝埋まらず-12月のスト決行に傾く
(ブルームバーグ): ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)では再建策を巡り労使交渉が続いているが、双方の隔たりは大きく、全面的なストライキへと発展する恐れが強まっている。
経営陣が工場を閉鎖する考えを示した後で、労働者代表は工場閉鎖を回避するため一部のボーナス返上を含む15億ユーロ(約2440億円)規模のコスト削減策を提案。だが、経営陣が過剰生産能力の調整で必要だと主張する削減規模は、それをはるかに上回る。交渉は21日も続くが、着地点はなお見えず、交渉に圧力をかけることが目的の一時的な「警告」ストが12月に決行される見通しだ。
VWは電気自動車(EV)販売の不振と世界最大の自動車市場である中国でのシェア低下に悩む「フォルクスワーゲン」ブランドで、大なたを振るう方針だ。オリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は、人件費とエネルギー費用が欧州で最も高い部類に入るドイツでのコスト削減を目指している。
労働者代表は20日、経営陣が目標としている削減総額は170億ユーロで、そのうち人件費は小さな部分を占めるに過ぎないと説明していた。経営陣は労組が容認できる範囲をはるかに超えた、より劇的な措置を検討している。それにはドイツ国内の工場数カ所の閉鎖や売却が含まれ、実行されれば労組との融和的なアプローチで知られるドイツで、タブーが破られることになる。
事情に詳しい関係者によると、経営陣はオスナブリュックとドレスデンの工場売却を提案した。さらに、エムデン工場は契約生産として使うことも検討しているという。非公表の交渉内容だとして、関係者は匿名を要請した。
VWの広報担当者はコメントを控えた。
原題:VW Lurches Closer to Walkouts With Union Talks Deadlocked (1)(抜粋)
--取材協力:Craig Trudell.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Monica Raymunt, Clara Hernanz Lizarraga