質が劇的改善! リサーチのプロが教える「失敗しないアンケート設計」5つの極意
■ 2. 「仮説」を考えることで、調査項目の精度を高める 渋谷氏は「仮説のないアンケートは失敗する」と述べる。アンケートは仮説を検証する場であり、事前に仮説を立てることがその成功を左右する。
以下の図のように、調査仮説は消費者が商品を購入するまでの行動に沿って疑問形で考え、調査項目に分類していく。そうすることで「誰に、何を、どのように聞くか」が明確になるのだ。調査会社に依頼する際も、仮説を伝えることでアンケートの精度が上がるという。
■ 3. 分析軸、評価軸ともに「比較の視点」を意識する 渋谷氏は「アンケートは、比較を通じて価値が生まれる」と強調している。たとえば、新製品の満足度が80%であっても、比較対象がなければその評価が良いのかどうか判断できない。しかし、競合製品の満足度が60%であれば、その新製品は「良い」と判断できる。 よって、比較対象があって初めて「高い・低い」「良し・悪し」の判断が可能になるのだ。調査項目を決める際には、何を比較対象にして評価するのかを事前に設定することで、アンケートの成功率が高まるといえる。 次に、実際に比較軸を使った集計表の事例を紹介する。 □ クロス集計を使って「表側」の比較 クロス集計とは、複数の設問をかけ合わせた集計表であり、アンケート集計でよく使われる手法である。上の図は「年代別の生活の不安や悩み」を示したもので、表側(クロス軸)に年代、表頭には生活の不安や悩みの項目が並んでいる。このようにして年代ごとの価値観の違いを比較できるのだ。
表側には年代別、職業別、年収別、世帯別、利用頻度別、購入頻度別、ブランド別など、多くの比較軸が用いられることが一般的である。 □ クロス集計を使って「表頭」の比較 上の図は、ブランドイメージを「絶対評価」と「一対評価」で集計した事例である。絶対評価は、企業ごとにあてはまるイメージを選択する形式で、一般的な聴取方法だ。一方、一対評価は、どちらの企業がイメージに強く結びつくかを選ぶ形式であり、これは表頭を比較した例になる。