インテルのCEOが退任。どうなるインテル?
一世を風靡し、もっとも身近なハイテク企業のひとつであるIntel(インテル)。CPUの王者に逆風が吹いています。 【全画像をみる】インテルのCEOが退任。どうなるインテル? 同社のパット・ゲルシンガーCEOが退任したのです。
改革と大打撃
ゲルシンガー氏は1979年にインテルに入社、2001年~2009年にかけてインテルのCTOを務め、大ヒットとなったCPU「Coreシリーズ」などを主導した名経営者です。一時はインテルから離れていましたが、2021年にCEOとして復帰。当時、半導体技術の開発でライバルに追いつかれていたインテルの改革に取り組みました。 約3年前のコロナ渦中でのこと、ChatGPT(2022年11月登場)がリリースされる1年前の話です。 最先端チップ分野で存在感を増すNvidia(エヌビディア)やTSMCに負けじと、研究開発に積極的に投資、米オハイオ州に新しい工場群を建設。2025年内には1.8nm相当の次世代品を製造することで、TSMCに並ぶチップを製造する計画も進行しています。 そんな中、コロナ渦の終焉で一時的に沸騰していたPC市場の売上が落ち込みます。インテルは膨大な投資が裏目に出て、大ダメージを負ってしまいました。
応急処置の代償
多額の投資をすぐに回収できるわけではありません。ライバルよりも性能の良いチップの生産・開発には時間もお金もかかります。インテルは人員削減や資産売却、分社化を行なって、急場をしのいできました。 傷だらけになりながら歩んできたインテルでしたが、市場からは厳しい評価を受けることになりました。 インテルの株価は2020年12月末:49ドル(7,352円)から2024年12月:23ドル(3,451円)、NVIDIAは2020年12月末:13ドル(1,950円)から2024年12月:138ドル(20,705円)と、その伸び率のちがいは明らかです。 今年はインテルの株価は約半値まで落ち込み、ダウ工業株30種から外され、企業買収のターゲットにリストアップされるほど。対するNvidiaがダウ工業株30種へ新たに採用を果たしました。 直近のインテルは今年7月から9月までの決算では166億3900万ドル(約2兆5000億円)の最終赤字を計上しており、米ロイターはゲルシンガーCEOについて「NvidiaがChatGPTのようなサービスを支えることで3兆ドル(約450兆円)規模の企業に成長する中、AIチップの競争で有効な製品を投入することができなかった。」と評しています。 コンシューマー向けには十分に強力なCore Ultraシリーズを打ち出せていましたが、産業用のAI向け半導体のニーズに追いつけなかった...というところですね。