70代シングル女性、育児と介護に追われ体ボロボロ…働きたくても働けない 物価高でお年玉あげたら即赤字、年金だけでどう生活すれば…
節約の工夫に満ちあふれた生活
サツマイモの皮だけで作る大学芋風のおやつ、むいた大根の皮も具にして煮込んだおでん、米のとぎ汁は捨てずにベランダ菜園の水やりに―。 【写真】70代シングル女性のある日の昼食。お裾分けでもらったり、ベランダ菜園で作ったりした野菜を使うなど節約の工夫がにじむ 長野県の北信地方に住む70代女性の食卓は、物価高が止まらない中で、節約の工夫に満ちあふれている。
「何もかもが値上げですね」
だが、どんなに頑張っても、物価の高騰ぶりには無力感を覚えるばかり。先月は米が一時的に不足する“米騒動”もあり、女性は不自由な脚をかばいながら、米を探してスーパーや量販店へと自転車を手押し車代わりに押し、歩き回った。維持費のかかる車は5年ほど前に手放している。「何もかもが値上げですね…」。ため息がこぼれた。
ローン払えず、手放した持ち家
現在家賃1万円台の2DKの部屋に1人暮らし。以前は持ち家に住んでいたが、元夫が体調を崩して仕事を辞めたため、約20年前住宅ローンが支払えなくなり、手放した。
子育てと介護のダブルケアで体はボロボロ
当時は、家事や育児は女性の役割とされていた。勤めていた金融機関を結婚を機に退職し、事務やヘルパーなど非正規雇用の仕事で2人の子を育てる傍ら、同居の義父母を介護した。夕方仕事先から急いで帰ってくると、義母から「“遅い。ご飯はまだ?”と言われたものです」と振り返る。40代で義父母を見送り、50代で変形性膝関節症を発症。過労や不規則な生活の中で、内臓疾患も患った。60代で福祉施設の仕事を辞めた。
脚の手術は延期、お年玉あげれば即赤字
年金は共済年金などで月額約11万円。月々の支出は13~14万円ほどで家計は赤字だ=家計簿参照。脚の手術が必要だが、お金がかかるので延期を続けている。2人の子は離れた街に住み、それぞれ暮らしに余裕はないことから「迷惑をかけたくない」と、普段から「SOS」は出していない。長期休みなどに孫が遊びに来るのが楽しみだが、お年玉をあげれば即、赤字だ。
働けるなら働きたいけど…
これまでずっと一生懸命働いてきた。仕事はつらくても「人の役に立ちたい」という思いもあった。でも気付いたら体はボロボロで、手元の貯蓄はわずか。事務の仕事でパソコン作業は得意だったが、自宅の古いパソコンは壊れてしまっている。「働けるなら働きたい。でも(高齢者が)在宅でできる仕事はなかなか見つからないし、パソコン一つ買うにもお金がかかる」 政治に望むことについて「年齢や身体の状態に応じた仕事をあっせんし、それが無理な人も生活できるよう、年金制度を見直してほしい」と女性は話した。