「復興は失敗した」…住民が集団避難した集落で孤軍奮闘、起業家男性が目指す“元気な奥能登”
あれから2カ月あまり。もともと過疎化で行き交う人が少なかった南志見地区は、地震でより人の気配が消える一方、工事関係者の姿を時折見かけるようになりました。仮設住宅の整備がすすむ集落に、奥田さんが営業を再開したカフェ「ココハサトマチ」があります。 「絶対に、こんな時って、飲食店があるとホッとするげん」 ここでは、家財整理などで一時帰宅した住民や、復旧作業に当たる工事関係者に向けて午前10時から午後3時までカレーやパスタなどを提供しました。 さらに、店の裏では井戸が新たに掘られ、汲み上げられた地下水を洗い物やトイレなどに使用し、避難先から自宅の様子を見に来た住民らにも開放しました。
雪が舞う3月、集団避難先から自宅に戻ったという女性が店を訪れていました。週に一回は必ず来ていると話します。 住民の女性 「再オープン、早い時期にしてくださって、すごくうれしかった。だって、周りがみんな避難して、誰も知っている人がおらん。ここに来たら声をかけてもらえるから、本当にその一言が嬉しい」
「奥能登に人を呼び込む」孤軍奮闘でも諦めない
奥田さんが進めていたゲストハウスの開業も地震の影響で延期に。建物は基礎が折れ、およそ1千万円の地盤工事が必要ですが、開業を諦める様子はありません。 「今足りないのは、人の動きやとおもっている。そして何が足りんかと言ったら、観光スポットやと思っている。ここには隆起してしまったけど海がある。川にはでっかい鮭とかもいるし、魚釣りとか…。今、アウトドアのサウナとかすごく好きな人がおるし、そういう人ってどこでも来てくれる」 集団避難で人がいなくなった南志見地区を、人で賑わう場所にしたいと、奥田さんは切に願います。
進まない復興…「我慢とか忍耐で済む話ではない」
4月下旬になっても静まり返った南志見地区を「減災・復興支援機構」の木村拓郎理事長が訪ねました。東日本大震災や熊本地震など数多くの被災地を見てきましたが、うねった道路や崩れ落ちた屋根が広がる光景に驚きを隠せない様子です。 木村さん 「やっぱり復旧、復興を大前提にするなら、壊れた家の解体撤去を早くしなきゃいけない。ボランティアは、被災者がいて『困っているから助けよう』と駆けつけるので『被災者がいないなら行ってもしょうがない』という話になる。人がいないとボランティアが助けに来ることは、まずないと思う」