「復興は失敗した」…住民が集団避難した集落で孤軍奮闘、起業家男性が目指す“元気な奥能登”
カフェ「ココハサトマチ」を訪ねた木村さんに、奥田さんは「戻ってきている住人は10人か20人くらいじゃないか」と説明します。 奥田さん 「この辺の人は、集団避難しておらんから。どうしても工事自体はやっぱり後回しになるのかなって思いますけど。ここは基本的にはお客さんが来ないところなんですよ。」 「自分のすることが復興に繋がるのか」奥田さんは葛藤する心境を話し始めます。 奥田さん 「自分がやっていることが、思っとる結果になるのかな、というのはいつも悩むよ。『合っとるんかな…でも、やらんなんよな』という感じ。約4カ月経つんやけど、進んでないですよね」
震災直後の1月5日、石川県の馳浩知事が被災地に来ないように、ボランティアの自粛を呼びかけました。木村さんは、このメッセージが今も影響していると指摘します。 木村さん 「(県知事が)自粛を呼び掛けたことで『能登は行っちゃいけないんだ』みたいな雰囲気が広がっている。最初から住民の皆さんは諦めムードというか」 我慢や忍耐で済む話ではないと言い切ります。 木村さん 「時間が経つほど戻る人は少なくなってしまう。人口が減ると過疎化に拍車がかかり、復興にはマイナスになる。震災直後に『自粛して』と言ったので、ボランティアは遠慮して来ない。それを被災地の中の人も感じている。災害のなかでも非常に異常な災害だと思う」
不屈の覚悟「でも、俺はうまくいく」小さい成功事例を積み重ねたい
6月中旬。 向かいの建物にはブルーシートがかけられたままの一方、奥田さんのカフェは、工事用の足場が外され、外壁には補修の痕が残っていました。多い日には一日260個売れていた日替わり弁当は、集落の工事が進むと共に少しずつ売れ残るようになり、奥田さんは時間の経過を感じていました。 奥田さん 「マスコミの報道も減ったよね。今も能登のニュースがあっても『またか』と思われるし。復興に失敗した石川県は、恥だ、真剣にそう思う」
南志見地区では4月以降、仮設住宅が順次完成し、住民が戻り始めていますが、それでも震災前と比べて、人口は5月までに1カ月に10人のペースで減少しています。奥田さんは「時間がかかり過ぎて住民らが離れる理由を与えてしまった」として「一年経ってもこんなもんだと思う」と話します。その一方で… 奥田さん 「でも、俺はうまくいく。覚悟決めて能登に来ているから『こんなことで諦めない、世界に発信できるチャンス』だと思っている。早く再開させることが大事で、頑張っている姿はみんな見ている。待っているだけではダメだ。小さい成功を積み重ねることで『俺もやろう』という人を増やしたい」