<春風と共に>智弁学園/下 課題は守備と走力 短時間練習で集中力高める /奈良
2019年8月に新チームが発足し、新主将に2年生5人が立候補した。1日ずつ「日替わり主将」を務めた後、小坂将商監督が、チームに対する責任感とやる気を重視して指名したのは、白石陸選手だった。白石選手は19年夏の甲子園でも5番を務め、実力は折り紙付き。「今度は自分がチームを引っ張っていくんだ」と自覚を新たにした。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 小坂監督は「個々の選手は(16年センバツの)優勝メンバーよりもいい」と話す。「全力疾走・カバーリング・指示の声」を常に重視し、長尺バットでの素振りや砂場でのダッシュなどを取り入れる。フリーバッティングやシートノックなど基本に重点を置く練習メニューを地道に続ける中、「選手たちをどうやって一つにまとめるか」に心を砕いてきた。19年夏の甲子園でグラウンドに立った1、2年生選手は8人。「夏の経験の分、周囲からは、強いと思われる」(小坂監督)というプレッシャーもある。 迎えた秋の近畿大会県予選。5試合で計59安打55得点を記録し、うち4試合がコールド勝ちという圧倒的な強さで優勝した。決勝の奈良大付戦では序盤にリードを許しながらも五回に長短打と四球で逆転する粘り強さも見せた。 近畿大会でも持ち前の打撃力を発揮し、準々決勝で智弁和歌山との兄弟対決を制した。4強一番乗りで勢いに乗り、迎えた準決勝の大阪桐蔭戦。智弁学園は四回に白石主将の本塁打などで4点を入れて引き離したかに見えたが、終盤で小刻みに加点され、サヨナラ負けを喫した。しかし新チームは公式戦8試合のチーム打率が3割8分6厘。上位から下位まで切れ目のない打線など高い実力を見せた。 「秋の大会でつなぐバッティングができて、チームとしてのまとまりがでてきた」と話す白石主将。昨夏に続いて2大会連続の甲子園切符を手にするまでの間、チームは気を緩めなかった。 課題は守備力と走力だ。公式戦8試合でのエラーは計15。「走力も5段階でまだ1・5程度。3・5くらいにはしたい」と小坂監督は言う。シートノックなど守備練習に時間を割き、選手たちの集中力が持つよう短時間で質の高い練習を心掛ける。【萱原健一】