乳がんで乳房や乳首を失った人に「人工乳房」という選択もあります|STORY
「人工乳首」もひとりひとりの特性にあわせてつくります
人工乳首も、シールのように装着が可能。自分の残っている乳首の特徴にあわせて色と肌感、乳輪の大きさを揃えます。乳房の再建手術をしても乳首は再建しない人が多く、そのようなお客様が乳首だけ購入されるというパターンも。再建手術で腿や建側の乳首半分と鼠蹊部の黒っぽい皮膚から移植して乳首を作っても、時間が経つにつれて吸収されてしまい形が残らなかったり、黒いシミになったりして身体的負担と見合わないことも多いのです。 ーー人工乳首の種類は? 人工乳首もフルオーダーとセミオーダーの中から選べます。フルオーダーは写真を送るだけの非対面・非接触だけで作れる日本初のサービスです。一方セミオーダーは、6種類の乳首の型と15種類の乳首の色の、10,800通りのサンプルの組み合わせの中から選ぶことができます。乳輪はその人に合わせて色と形を専用に作るので本人の乳首と同じように作ることができて、2~3週間で完成します。 フルオーダーメイド人工乳首(¥90,000/2個)、セミオーダーメイド人工乳首(¥29,800/2個)
最後に……乳がんの患者さんと向き合い続けて感じること
自分のカラダの一部を失う「乳がん」は特別ながんだと考えます。他のがんだったら、お腹から患部を切って、取って、縫って完治すれば、がんだったことを忘れて生活することもできる。でも乳がんは10年経って「もう大丈夫」と言われても、おっぱいがない自分を見るのは毎日で、一生続くのです。元の体に戻りたいという気持ちは消えないし、人工乳房を試着した瞬間に涙を流す人もたくさん見てきました。母親に乳がんの手術したことを話せずバレないように買いにくる人もいるし、温泉で周りの人を驚かせないようにと人に気を遣って買いにくる人もいます。ヨガやゴルフなど手を動かすとパットがズレる運動は、制限してしまう人もいるのです。セクシャルな部分なだけに、人に相談できずに悩んでいる大勢の女性たちの気持ちに寄り添いたい。人工の乳房や乳首があることを選択肢の一つとして知ってもらい、一人でも多くの女性たちの乳がん後の生活をサポートできたら嬉しく思います。
今回お話を伺ったのは・・・
◼️ナチュラルブレスト株式会社 代表取締役社長 本田幸恵さん 1963年生まれ(61歳)。教育関係・IT関連企業の仕事を得た後、2006年5月にかつらを作成する「ナチュラル株式会社」の取締役に就任。ご自身のITや3Dプリンターの知識を生かして、2014年に人工乳房の製作会社である「ナチュラルブレスト株式会社」を立ち上げる。2024年9月にフォレストホールディングスの傘下企業である「ナチュラルブレスト株式会社」の代表取締役社長に再就任。 【ナチュラルブレスト株式会社】 〒812-0018 福岡県福岡市博多区住吉3-1-18 福岡芸術センター507 取材/北野法子