センバツ甲子園 明豊の夢、かなわず 持ち味発揮できなかった /大分
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)に3年ぶりに出場した明豊は、大会7日目の26日、2回戦で健大高崎(群馬)と対戦し、相手投手の継投を打ち崩せず、0-4で敗れた。ここまで堅さを誇った守備もほころび、目標に掲げた「日本一」は果たせなかった。だが、選手たちは「夏にもう一度甲子園に帰ってくる」と誓い、アルプススタンドからはねぎらいの拍手が送られた。【長岡健太郎、林大樹、神山恵】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 「何とかして先制点をもぎ取りたい」 雨天による2度の順延を経て迎えた2回戦。試合前に川崎絢平監督は堅守を誇る健大高崎を攻略する展望を語っていた。 チームにもその意識はあり、初回、2番の高木真心(3年)が相手投手の立ち上がりを攻め、粘りの打撃で左前に安打。好機を広げるため、狙い通りの盗塁も決めた。 だが、後が続かず、その裏には先発・一ノ瀬翔舞(同)の立ち上がりを攻められた。先頭打者から安打を許し、1死二、三塁で迎えた4番打者の内野ゴロを処理する間に本塁を許し、健大高崎が先制。二回以降、一ノ瀬は持ち前の制球力を武器に相手打線を0点に抑えたものの、二回に芦内澄空(同)が中前打で出塁した以外はほぼ打線が沈黙。その後は回を追うごとに健大高崎が試合のペースを握り、明豊は3者凡退が続いた。 五回から継投した主戦の野田皇志(同)も四つの三振を奪ったものの、六回の先頭打者が失策絡みで二塁に進んだ後、追加点を許すなどして2失点した。 明豊は最終回に5番の末吉冴太朗(同)が、150キロ近い速球が自慢の相手投手から左前打を放ち、最後の粘りを見せたが、結局本塁を踏むことはできなかった。 初戦で九回にサヨナラ適時打を放った4番の石田智能(同)も4打数3三振に抑えられるなど、終始主導権を握れなかった明豊は計3安打に終わり、九つの三振を奪われるなど持ち味を発揮できなかった。 七回に代打で出場した山内真南斗主将(同)は「自分たちの野球ができなかった」と悔しさをにじませたが、「本気で日本一を目指しているし、日本一にならないといけない」と語り、夏の雪辱を誓った。 ◇全国レベルのプレーに歓声 ○…4月から明豊野球部に入部予定の中学生7人が一塁側アルプススタンドに駆けつけ、チームの勝利を願って声援を送った。神戸市出身の浅井駿佑さん、福永有祐(なおすけ)さん、大阪市出身の柴垣廉人(れんと)さん、東翔輝さん、大阪府岸和田市の阪口純暉(うぶき)さん、和歌山市の諏訪宏智(ひろと)さん、愛知県春日井市の鈴木翔太さんは、それぞれの学校の制服を着て試合を見守り、全国レベルのプレーに歓声を上げた。鈴木さんは「守備のレベルが全然違う。甲子園に出たい思いが強くなった」と胸を高ぶらせていた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■青春譜 ◇がに股、意地の一打 末吉冴太朗(こたろう)一塁手(3年) 4点をリードされて迎えた九回2死、打席が回ってきた。後のない場面だったが、がに股で低い姿勢を保つ独特のフォームで、気合十分に構えた。 ここまで自身はノーヒット。「長打よりもつないで塁に出よう」と鋭く振り抜き、打球を左前に運んで意地を見せたが、後が続かず無得点で敗退した。 身長183センチ、体重90キロの堂々とした体格を生かした力強い打撃が持ち味。先月まで先発メンバーではなかったが、人一倍大きな声を出して、チームを盛り上げた。 独特のフォームは冬に身に付けた。以前よりも打球に力を伝えられるようになったことで調子が上向きになり、好調を維持したままセンバツへ。それが川崎絢平監督の目に留まり、1回戦は7番・一塁手で先発。2打数2安打と期待に応えた。 この活躍もあり、2回戦は打順を二つ上げて主軸の5番を任された。だが、相手の継投の前に最終回にヒット1本を放つのがやっと。チームも3安打に封じられた。 試合後、憧れの舞台で先発できたことを「楽しかった」と語り、充実感をにじませた。だが、すぐに「悔しい思いをしたので、夏は上位にいけるように頑張りたい」と気を取り直し、さらなる成長を誓った。【神山恵、林大樹】