「怒り」を鎮める新手法! お手軽に実践できる“アンガーマネジメント法”を名古屋大が公開
今回の研究の背景とは?
編集部: 今回の怒りに関する研究が実施された背景を教えてください。 舘野先生: 怒りを効果的に抑制する方法についてはアンガーマネジメントが知られていますが、「客観的なエビデンスに基づいた怒り抑制法ではない」と研究グループは指摘しています。その上で、「感情のコントロールに用いられる再評価や自己距離化という手法は、怒りを抑制することが証明されているものの、どちらも怒っている最中におこなうことは難しく、簡便で効果的な怒り抑制手法はない」とも問題提起をしています。 こうした観点から研究グループは、「自分の捨てたい思いを皿に念じ封じ込めて割ることで、自分の気持ちを捨て去ることができるという“はきだし皿”と同じように、怒りを感じた状況を紙に書き、その紙を捨てることで怒りが収まるのではないか」と考え、検証するに至っています。はきだし皿は、愛知県清須市の日吉神社でおこなわれている、捨てたい思いを皿に封じ込めて、それを境内で割る神事のことです。
研究グループが発表した内容への受け止めは?
編集部: 名古屋大学らの研究グループが発表した内容についての受け止めを教えてください。 舘野先生: 怒りにどのように対処したらいいのか悩んでいる人は多いと思います。そんな中、「感情を紙に書き出して、それを捨てることで怒りを減らせる」という研究結果は、多くの人にとって有益であると考えます。すぐに実践できるため、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
編集部まとめ
名古屋大学の研究グループは、怒りを抑制する方法を新たに発見したと発表しました。地元愛知県の「さらわり神事」にインスパイアされた研究とのことですが、怒りをコントロールする新たな研究は注目を集めそうです。
【この記事の監修医師】
舘野 歩 先生(東京慈恵会医科大学附属病院) 東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。現在は「東京慈恵会医科大学附属病院」勤務。専門は精神神経科。日本精神神経学会専門医・精神科指導医、日本森田療法学会認定医、精神保健指定医。東京慈恵会医科大学精神医学講座准教授。