【医学部受験】第一志望が国公立でも「私立併願しておくべき」これだけの理由
現役医大生時代、6年間にわたり医学部受験生を指導していた綿谷もも氏。綿谷氏は、合格可能性を最大限に上げるためには「学費的に受験可能かつ成績的に合格可能性のある大学から、できるだけ多くの大学に出願しておくこと」が重要だとアドバイスしています。綿谷氏の著書『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』(監修:高梨裕介氏)より一部を抜粋し、合格可能性を上げるためのポイントを見ていきましょう。
医学部の学費の相場
医学部というと「学費が高そう」というイメージがあると思うので、まず学費について説明します。 国公立の医学部と私立の医学部で学費は大きく変わります。 国公立の医学部の学費は、ほぼ全ての大学で共通しており、6年間の総額が約350万円程度です。他の学部と年間の授業料は変わりませんが、学生期間が6年間と長い分、総額としては他学部よりも高くなります。 私立医学部の学費は、大学によって大きな差があります。2024年1月時点で、最も安い私立の医学部は国際医療福祉大学で、6年間で1,850万円です。 最も高いところは川崎医科大学の4,550万円です。私立医学部の学費を平均すると、6年間でだいたい3,000~3,500万円くらいになります。 特殊な私立医学部に、防衛医科大学校と自治医科大学、産業医科大学があります。 これらの医学部では、一定期間定められた病院や地域に勤務することで、学費が免除されたり、奨学金がもらえる制度が設けられています。 私立医学部の学費は年度によって変更されることがあり、時には大きく変化することがあります。例えば、2020年東京女子医科大学では、6年間で1,200万円の値上げが発表されました。
「私立医学部は限られた人しか通えない」?
国公立医学部と私立医学部は学費の桁が違うため、限られた人しか私立医学部には通えないのではないか、と感じる方もいらっしゃると思います。 たしかに、両親が医師であったり、裕福な家庭の学生が多い傾向はあります。しかし、わたしのようにサラリーマン家庭育ちで奨学金を借りながら私立医学部に通う学生も少なくない印象です。 噂では、「私立医学部の学生は私生活が派手だから、一般家庭の人が行くと浮いてしまう」「寄付金が必須で、6年間で1億円必要らしい」といったものがありますが、これは明確に「ウソ」と断言できます。 もちろん私生活が派手な学生もいますが、そういった学生が集まって目立っているだけであって、友達づくり次第でどうとでもなる印象です。 寄付金事情は大学によっても違いますが、寄付金が必須な大学の方が珍しく、わたしの大学でも寄付金はあくまでも任意です。 結論としては、「たしかに裕福な家庭の人が多い傾向はあるが、サラリーマン家庭から進学しても大きな問題はない」と言えるでしょう。 ただし、同じ「私立医学部」といっても、一番安いところと高いところでは約2,500万円の差があります。学費が高くなればなるほど、裕福な家庭の学生の割合は高くなるため、大学によっても雰囲気に差は出てくるかと思います。