マカオでの敗戦を嘆くBMW陣営。「他車を押しのけたらレースに勝てないはず」ファントールは裁定に不服
ラファエル・マルチェッロ(TOROレーシング・パワード・バイ・MCG)とドリス・ファントール(チームWRT)は、11月17日にマカオで開催されたFIA GTワールドカップで優勝の可能性を失った別々の“事件”について意見を述べた。 【写真】優勝したエンゲルから接触を受け、ガードレールにヒットしてリタイアとなったファントールの32号車BMW ともにM4 GT3をドライブしたBMWのワークスドライバーたちは、土曜に実施された予選レースでワン・ツー・フィニッシュを飾ったあと、ポール・トゥ・ウインを果たしたマルチェッロにファントールが続くかたちで、雨上がりのギア・サーキットで行われた日曜のメインレースに臨んだ。 2番手からスタートしたファントールは8周目に3番手に順位を落とした直後、最終的にレースを制することとなったマーロ・エンゲル(メルセデスAMG・チームGMR/130号車メルセデスAMG GT3エボ)から接触を受けてガードレールにヒット。マシンにダメージを受けリタイアを余儀なくされた。 一方のマルチェッロはセーフティカースタートとなったことで実質11周で争われたレースの大半を支配していたが、残り3周の最終コーナーでアントニオ・フォコ(AFコルセSRL/83号車フェラーリ296 GT3)にオーバーテイクを許す。接近した状態でホームストレート、ターン1、ターン2を通過した2台は、リスボア(ターン3)への進入で止まりきれずランオフエリアへ。 このバトルの結果、マルチェッロの3度目のFIA GTワールドカップ優勝の可能性はなくなり、前が開けたエンゲルがラスト2周で3番手からトップに立つと最後は後続とのギャップを拡げトップチェッカーを受けることとなった。 「メインレースの展開は残念だった」とマルチェッロは語った。 「残念なことに今日は僕たちのクルマにとって最悪のコンディションだったが、それでも勝利まであと2周だった」 「最終コーナーで(フォコの)フェラーリにリードを奪われたが、すぐに反撃を試みた」 「もちろん、(ターン3に向けてのブレーキは)遅かったが、彼もブレーキング中にラインを変えてきた。それによって僕にはもうスペースがなかったんだ。すべてを1枚のカードに託したが、残念ながら今日はうまくいかなった」 マルチェッロはフォコと軽く接触したアクシデントのあと、ピットレーンでレースを終えている。 同じくチェッカーフラッグを受けずにレースから退いたファントールは、自身と32号車BMWをリタイアに追い込んだ接触に対しエンゲルがレース後に受けた5秒加算というペナルティのレベルに疑問を抱いた。 「通常、他のクルマを押しのけたら、レースには勝てないはずだ」とファントールは不満を述べた。僕にとって、今日起こったことはあり得ないことだ。しかし、実際に起こったことだから仕方がない」 「僕たちはとても楽しくレースをして、BMWに競争力があることを示す良い戦いを見せたと思う。けれど残念ながら、僕たちの手に負えないことがいくつかある」 BMW Mモータースポーツのボスであるアンドレアス・ルースは、アウグスト・ファーフス(チームKRC/89号車BMW M4 GT3)とシェルドン・ファン・デル・リンデ(チームWRT/31号車BMW M4 GT3)がこの大混乱に乗じて表彰台を獲得したにもかかわらず、フロントロウからスタートした強力なふたりのドライバーが完走できなたったことから複雑な感情を抱いていた 「メインレースでは、私たちのクルマが最速ではないことが明らかになり、私たちは後退を余儀なくされた」と同氏は語った。 「残念ながらマーロ・エンゲルとドリス・ファントールの間にもアクシデントがあった。私たちの見解では、エンゲルへのタイムペナルティは適切な罰であるとは言い難い。接触の結果、ドリスは3番手を走りながらレースを予定より早く終了することになったためだ」 「もちろん、アウグスト・ファーフスとシェルドン・ファン・デル・リンデの2台が表彰台に上がったのは素晴らしい結果だ。だが、ここで戦うのであればレースに勝ちたいものだ」 「私たちは間違いなく最強のラインアップを持っていたと思うが、勝つチャンスはなかった」 [オートスポーツweb 2024年11月18日]