《ブラジル》記者コラム=本紙のデジタル化と経営改善=移民120周年祝うための改革に協力を
SPDL社が7月に配達料金を2倍値上げ
二大改革の二つ目「経営改善」の点だが、印刷版を発行するためには、印刷代と配達代がかかる。戦後移民読者は大半が80歳以上となり、インターネットをやらない人が多いので印刷版継続は必須だ。 配達の場合は、どうしても本紙が業務委託しているSPDL社に配達を依存することになる。残念ながら、毎日読者から多数の未配達の苦情が届くので、それをSPDL社に伝えているが、一向に改善の兆しがみられない。全国規模で新聞配達をする会社はここしかなく、他に選択肢がない。 さらに、今年7月にSPDL社が一方的に配達料金を2倍に値上げした。これが本紙の財政状況をさらに悪化させた。当協会支出の三大項目は人件費、配達代、印刷代だ。この三つでほぼ8割になる。配達料金2倍値上げで赤字が大幅に膨らみ、「経営改善」の取り組みが緊急課題に浮上した。 また、印刷代も年々上がっていくという状況である。 そこで、コンピューターを使っている読者で印刷版を購読している人には、WEB会員への乗り換えを薦めたい。WEB版は印刷版よりも安く、サイトでしか読めないその日の最新記事もある。本紙サイト(https://www.brasilnippou.com/membership)からクレジットカード払いができ、本紙(電話11・3164・0474)に連絡をもらえば、レアル払いでボレット発行も可能だ。1月には、新しいサイトが立ち上がり、より使い勝手もよくなるのでぜひWEB版会員の登録をお願いしたい。
ポルトガル語版をデジタル版に移行
そのような「経営改善」の取り組みの中、苦渋の決断で、購読者が少なかった印刷版のポルトガル語新聞「Nippon Ja」をこの10月末でいったん終了させることにした。購読者の数と比較し、印刷代と配達代の経費が掛かりすぎるため、経費削減の一手段としての決定だ。 その代わり、11月以降、必要に応じてブラジル日報印刷版の8面にポルトガル語記事を掲載している。かつてサンパウロ新聞、パウリスタ新聞、日伯毎日新聞もその形態をとっていた。 また、「Nippon Ja」印刷版は無くなっても、そのサイト(https://portal.nipponja.com.br/)とフェイスブック(https://www.facebook.com/JNipponJa/)、インスタグラム(https://www.instagram.com/portal_nippon_ja/)などのSNSはそのまま継続させ、ほぼ毎日新しい記事を発信している。 つまり、デジタル版に完全移行し、ポルトガル語メディアは継続、発信強化をしているということだ。 繰り返すが、印刷版のポルトガル語新聞「Nippon Ja」の終了は、「ポルトガル語新聞を終わらせる」という意味ではなく、デジタル版に移行するという意味だ。ポルトガル語媒体としてはベージャ誌、フォーリャ紙、エスタード紙、グローボ紙全てが印刷版部数を激減させ、デジタル版に移行している。これは時代の流れともいえるものだ。 さらに、ブラジル日報の新サイトはチャットGPTの自動翻訳機能を内蔵する予定で、日本語記事をポルトガル語でも表示できるようになる。そのため、新サイトの運用開始後、順次、「Nippon Ja」の内容を「ブラジル日報ポルトガル語版」に統合する予定だ。