《ブラジル》記者コラム=本紙のデジタル化と経営改善=移民120周年祝うための改革に協力を
寄付やサポータープログラムでの支援を
創刊以来、ブラジル日本文化福祉協会の6階全フロアを借りて活動してきたが、家賃を減らすために半分以上を返還し、6階奥側だけで活動を続けることになった。 「経営安定化」に関して相当の経費削減が進み、かなり収支が改善する予定である。 前述した通り、新聞を発行し続けるためには、膨大なリソースと人件費がかかる。現在は、収益を改善できるよう、最低限の人員が最大限に働いて新聞を発行し続けている。 このような経営努力をしているが、インフレ調整のために新年の早い時期に印刷版の購読料値上げは避けられないだろう。 今後はさらに、日本語教育向けのコンテンツ作成、SNS用の映像編集、ポルトガル語新聞の編集取材などの人員を補強したい。そのために、ぜひ本紙の「サポータープログラム」(https://www.brasilnippou.com/2024/240424-esp1.html)に協力をお願いしたい。 当協会は利益を目的としない「非営利団体」であり、純粋な寄付もありがたい。こうした改革を早く完遂させれば、日本移民120周年(2028年)を盛り上げるためのコミュニティペーパーに生まれ変わることができる。 移民読者は邦字紙を読むことでコロニアやブラジル社会、日本の動きを把握することができ、社会との一体感が増す。「ブラジルに移住して良かった」と思えるようになり、精神の安定に貢献するだろう。もしも周りに邦字紙を読みたいが購読料を払いきれないと諦めている人がいたら、財布に余裕がある人は、その人の分を負担してあげられないだろうか。 日本の消費者金融大手「プロミス」創業者・故神内良一氏から「恵まれない日本移民を世話するために使ってほしい」とサンパウロ日伯援護協会に贈られた「神内基金」は、そのようなことに使われてもいいのではないかと思う。 いままで日本語新聞がポルトガル語新聞の経営を支えてきた。今もしブラジル日報がなくなれば、同時にデジタル版に移行したポルトガル語のコミュニティペーパーも危機に陥る。ポルトガル語のコミュニティペーパーがなくなれば、今後の周年行事や日系団体の節目になっても、日系人のコンセンサス(共通認識)を形成するメディアがなくなる。日系人の日本語能力はさらに低くなり、日系人アイデンティティも薄まるだろう。 県人会や地方文協などの日系団体はもちろん、日本政府機関、日本進出企業など、日本語媒体だけでなく、ポルトガル語媒体という日系社会の共通認識形成の手段がなくなると、困ることがいろいろと出てくる。日本移民120周年を盛大に祝うために、時代に合わせた形に日系団体もコミュニティペーパーも変化していくことが必要ではないだろうか。(深)