厚生年金はいつまで払う? 60歳以上の保険料や支給額の違いをわかりやすく
3.国民年金はいつまで払う? 保険料と支給額
国民年金保険料を納める義務がある期間は、20歳以上60歳未満の40年間のうち、「厚生年金に加入しておらず、かつ、厚生年金に加入している配偶者に扶養されていない月」です。 厚生年金とは違い、保険料は一律で、自身で納付手続きをおこなう必要があります。 (1)国民年金の加入期間 日本国内に住む人は国民年金への加入義務があります。加入期間は20歳以上60歳未満の40年間(480カ月)です。 所得が一定以下の学生の場合、加入扱いとなりながら保険料の納付猶予を受けられる「学生納付特例制度」を利用できます(猶予された月数は資格期間には含まれますが、将来受け取る年金額には反映されません。年金額を増やすためには追納が必要です)。 60歳になるまでに未加入期間や保険料の未納・免除期間などがある場合、60歳以上65歳未満の間、納付月数が480カ月になるまで保険料を納付できる「任意加入制度」を利用できます(ただし、厚生年金に加入中の人は利用できません)。 なお、5年ごとに行われる公的年金制度全体の点検、見直しの一環として「基礎年金の給付額を増やすために、国民年金保険料の納付期間を40年から45年に延ばす」案を検討することが、2024年4月、厚生労働省から発表されました。検討の結果によっては、早ければ2025年の通常国会に関連法案が提出される見込みです。 (2)国民年金の保険料 国民年金保険料は毎年度見直され、2024年度は月額1万6,980円です。まとめて前払い(前納)すると割引が適用されます。直近5年間における変遷は、次のとおりです(前納しない場合の月額です)。 2020年度 1万6,540円 2021年度 1万6,610円 2022年度 1万6,590円 2023年度 1万6,520円 2024年度 1万6,980円 参照:国民年金保険料の変遷|日本年金機構 納付義務の有無、希望すれば納付できるかどうかは、国民年金の被保険者の種別(第1号~第3号、任意加入の4種)により、月単位で異なります。 ●第2号=厚生年金に加入している 厚生年金保険料を負担することにより、厚生年金と国民年金の両方に加入している扱いになる(国民年金保険料の納付義務はなく、希望しても納付できない) ●第3号=第2号被保険者(=厚生年金の加入者)に扶養されている配偶者[例:妻]である 第2号被保険者である配偶者[例:夫]が厚生年金保険料を負担することにより、国民年金に加入している扱いになる(国民年金保険料の納付義務はなく、希望しても納付できない) ●第1号=第2号被保険者(=厚生年金の加入者)ではなく、第3号被保険者(=第2号被保険者に扶養されている配偶者)でもない 国民年金保険料の納付義務がある ●任意加入 希望して国民年金保険料を納付する なお、国民年金には「付加年金」という上乗せ制度があります。国民年金保険料に上乗せして付加保険料を納めることにより、将来受け取る年金額を増やすことができます。 ●支払う付加保険料(月額):400円 ●受け取る付加年金(1年分):200円 × 付加保険料納付月数 (3)国民年金の支給額 老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳になるまでの40年間(480カ月)、国民年金保険料を全て納めると満額を受け取ることができます(国民年金保険料の納付義務がない第2号被保険者、第3号被保険者であった月数も合算して480カ月です)。 年金額は賃金や物価などの変動に応じて毎年度見直され、2024年度の満額は81万6,000円(月額換算6万8,000円)です(参照:令和6年4月分からの年金額等について|日本年金機構)。 たとえば、20歳と21歳の2年間(24カ月)保険料を納めなかった場合は、満額から24カ月分少ない年金額になります。 ●満額から24カ月分少ない年金額 = 満額81万6,000円 ×(480月 - 24月)÷ 480月 = 77万5,200円 「保険料を1カ月納めるごとに、受け取る年金(1年分)は1,700円増える。ただし、保険料を納付できる月数の上限は480カ月である」という理解でもよいでしょう。 なお、直近5年間における満額(月額換算)の変遷は次のとおりです。 2020年度 6万5,141円 0.2%引き上げ 2021年度 6万5,075円 0.1%引き下げ 2022年度 6万4,816円 0.4%引き下げ 2023年度 6万6,250円 2.2%引き上げ 2024年度 6万8,000円 2.7%引き上げ