給食で“カジキ料理”を食べた児童ら46人が「ヒスタミン食中毒」 常温解凍の時間が長すぎた可能性 過信は禁物「加熱したから大丈夫ではない」 特徴、症状、予防方法は
長野県白馬村の学校給食でカジキのフィッシュチリソースを食べた児童生徒ら46人が発疹などのアレルギーに似た症状を訴え、大町保健所が調査した結果、ヒスタミンによる食中毒と断定された。原因は、カジキの常温解凍時間が長すぎたことで菌が増殖し、ヒスタミンが生成されたためと推定されている。保健所は給食センターに2日間の供給停止を命じた。 【画像】カジキのフィッシュチリソース
児童生徒ら46人症状
12月4日午後3時30分頃、施設から大町保健所に「給食で調理、提供したカジキのフィッシュチリソースを食べた複数名の児童、生徒及び職員が、顔面の発赤や発疹の症状を呈し、医療機関を受診した」旨の連絡があった。 大町保健所と白馬村教育委員会によると、給食は村内の小学校2校と中学校1校で約600食が提供され、給食を食べた411人のうち、児童生徒、教員の計46人が4日午後1時頃から、発赤、頭痛、下痢などの症状を訴えた。
「カジキの常温解凍時間が長すぎた」
県環境保全研究所の検査により、食品からヒスタミンが検出された。患者の発症状況はヒスタミンによる食中毒の症状と一致し、診察した医師からも食中毒の届出があったことから、大町保健所は「白馬村学校給食センター」を食中毒の原因施設と断定した。 保健所によると、カジキの常温解凍時間が長すぎたことで菌が増殖し、ヒスタミンが生成されたことが一因としている。
ヒスタミン食中毒の特徴と予防法
長野県健康福祉部によると、ヒスタミンは、Morganella morganii 等の細菌により、食品中のヒスチジンが分解されることで生成される。青魚(赤身魚)に比較的多く含まれるヒスチジンが原因となり、マグロ、イワシ、サバ、サンマ、カジキ等が食中毒の原因食品として多い。 症状は摂食直後から1時間以内に現れ、顔面紅潮、発疹、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛等がある。重症の場合は呼吸困難や意識不明になることもあるが、死亡事例はない。 予防には、魚介類を購入後すぐに冷蔵庫で保管し、早めに調理して食べることが重要である。冷蔵庫の温度管理や詰め過ぎにも注意が必要だ。「多少古くても加熱すれば大丈夫」という過信は禁物である。 なお、今回の事案で症状を訴えた患者は全員快方に向かっているという。 (長野放送)
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