「コミケは年寄りだらけは大間違い」運営代表が噂に反論 50周年を前に、コミックマーケットに起きた変動とは?
赤ブーと日程重複の夏コミへはどう対応する?
──次回の「コミックマーケット106」についてですが、赤ブーブー通信社主催の「GOOD COMIC CITY 31 大阪」と日程が重複しており、何らかの連携を行うと発表されていました。 市川孝一 本当に両方のイベントに参加されている方々に申し訳なく思っています。会場の都合なので、我々としてもどうしようもなかったというのが正直なところです。 しかも、参加者の方々に加え印刷会社さんなど、関係各所にも大きな負担をかけているのは事実です。 両方に参加しようと考えられているサークルさんの荷物をどう運ぶか、物流をどうするのかが一番の問題になってくると思っています。 過去にも日程が被ったことがあり、その時は企業さんに頑張っていただきましたが、今は状況も異なり、1日あたりの運転時間が規定されている中で物流会社さんたちもかなり厳しい。 同じようにはできないまでも、どうにかできないか──赤ブーさん他と相談しつつ考えているというのが現状です。
コミケ50周年──同人誌即売会という文化の盛り上がり
──「コミックマーケット107」が開催される2025年12月には、いよいよ50周年を迎えますが、大きな節目を前に感じていることはありますか? 市川孝一 50周年なんですけど、コミケの開催期間は東京ビッグサイトの大規模改修工事が決まっているので、その対応が喫緊の課題です。 早めに会場の図面がもらえるようにお願いしているものの、どこが使えてどこが使えないのかを把握して、導線計画を考えなくてはなりません。 ──半世紀という節目でも、そればかり考えてはいられない状況ということすね。 市川孝一 思い返すと、直近で大きな節目となった100回目の「コミックマーケット100」もコロナ禍でした。 今回も、工事の関係で使用できるスペースが限られる中で、50周年記念のためにスペースを割き、その分参加サークル数が減ってしまったら本末転倒。 大変な状況ではあるんですが、スタッフの間でも何かできればとは話しています。 ──コミケの50周年に加え、2024年はコミティアが40周年、文学フリマは初のビッグサイトで開催と、同人誌即売会周辺でメモリアルな出来事が続いています。そうした全体の盛り上がりはどのようにご覧になっていますか? 市川孝一 同人誌即売会という文化が発展してきた結果だと思っているので、喜ばしい限りです。それぞれのイベントが盛り上がることで、相乗的に参加者が増えていくと思います。 例えば、コミティアでオリジナル作品を描いてきたけど、アニメやゲームにハマって「パロディ作品を描きたいからコミケットに出てみよう」と考える人もいるだろうし、その逆もある。双方に良い効果が生まれるように、これからも頑張っていきたいです。 ──これは余談なんですが、そうしたオタク文化に深く関わるコミケットの事務所が秋葉原や池袋などの縁の深い土地ではなく、下北沢にあるのはなぜなんでしょう? 市川孝一 たしかに同じ即売会という意味では、コミティア実行委員会は池袋、博麗神社例大祭の運営は秋葉原(千代田区外神田)なので、意外に感じる人もいるかもしれません。 最初は、当時学生で一番柔軟に動きやすかった米沢嘉博(準備会二代目代表)の家で事務をやっていたのですが、規模が大きくなるにつれて、追っつかなくなり、米沢の住んでいた下北沢界隈で事務所を借りて、そのまま下北沢近辺で続いている形です。 ──なるほど。非常に属人性の高い決め方だったんですね。 市川孝一 以来、米沢もこの地に住んでいたんですが、その後は決してしょっちゅう事務所に来ていたかというとそういうわけではなく……(笑)。 僕らが捕まえようと思っても全然捕まらないし、携帯電話も持ってくれなかったので、連絡がつかないことが多かったんです。 むしろ、本人行きつけの喫茶店を回った方が見つかるなんてこともありました。