「コミケは年寄りだらけは大間違い」運営代表が噂に反論 50周年を前に、コミックマーケットに起きた変動とは?
クレカの表現規制、政治との接近──オタク文化を取り巻く環境
──近年、海外資本のクレジットカード会社が、成人向けの同人誌やゲームなどを取り扱うサービスで決済を停止する流れがあります。それらを背景とした、同人誌即売会の需要の高まりや問題などは感じられていますか? 市川孝一 そういう問題があるのはもちろん把握していますが、今のところ同人誌即売会における影響は感じていません。 ──規制する側の判断で「流通させていい作品/悪い作品がある」という審級でもあるように思えますが、作品を審級するのは難しいようにも思えます。 市川孝一 コミケットの場合、絵についてはわいせつにあたるようなものは、必要に応じて修正していただく場合がありますが、内容については問わないという姿勢でずっとやってきています。 クレカ問題は審査されるにも、どういう審査がされているかわからないのが不透明なんですよね。 獣姦などがNGになっているようなので、海外の価値観のバイアスがかかっているのかなとは見受けられますが、それに対して意見があったとしても誰にどう話せばいいのかがわからない。 どの会社にどういう話をすればいいのかわからないのが、難しいし怖いなと感じています。 たとえば修正については、コミケットでは11月から12月頭に出る商業の単行本を買い集めて、それを参考に勉強するということをしているんですが、このクレカ問題については勉強しようにも難しく、わからないところが多すぎるというのが率直に思うところです。 ──以前よりクールジャパンとして、アニメや漫画などを国の基幹産業とする流れはありましたが、近年はまた新たな動きを見せているようにも感じます。コロナ禍においてはコミックマーケット開催へ向けて議員の方々と連携を図っていたこともあったと思いますが、そうしたオタク文化と政治の接近についてはどのように感じてらっしゃいますか? 市川孝一 国会議員に関しては、山田太郎さんや赤松健さんをはじめ、ひと昔前よりも話を聞いてくれる方々が増えていると感じます。 今の若い議員の方は、漫画やアニメ、ゲームなどに子供の頃から親しんでいるので、そうした文化の根幹に日本の自由な表現を尊重する考えがあること、さらには二次創作を中心とする草の根のファンの文化があることを理解してくれているのは心強いです。 ──オタク文化に理解のある方が増えるのは心強い一方で、それで支持者を得ようとする「オタク文化の政治利用」的な見られ方をされてしまう場合もあるのではないかと思うのですがいかがでしょうか? 市川孝一 表立って公言する国会議員の方が何十人もいるならそういう話にもなると思いますが、今はそこを問題視する規模にはなっていないんじゃないでしょうか。 まだまだコネクションが薄い部分もあるので、そこは紹介してもらったりしながら連携を強めつつ、今後も自由な表現を大切にしていくための仲間を増やしていくのは重要なのかなと思っています。