斎藤元彦知事の最側近、片山安孝元副知事「疑惑を言われているから疑惑を言う」猛反撃 百条委
斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)の斎藤氏と片山安孝前副知事への最終の証人尋問が行われました。失職後の知事選で再選されてから初めての証人尋問。正当性を譲らない強気な姿勢を見せた斎藤氏でしたが、斎藤氏以上に攻勢を強めたのは最側近だった片山氏でした。 【写真】軽トラをバックに写真に納まる斎藤元彦知事と人気女優2人 片山氏の尋問は異例のスタートでした。「守秘義務が必要な委員会の情報が流れて、私にプレッシャーを与えている」と憤慨し、“情報漏えい”に「委員長に対して異議を申し上げたい」とまくしたてました。 その後、片山氏が以前に委員会に異議を申し立てた「委員会の一部議員が告発文に関与している疑惑」について、意見を求められると、「大変、申し訳ないが」と背中をイスの背にもたせかけ、「私はこの場に疑惑があるから出てきている。委員さんの中には、疑惑を持たれている方もいます」と議員の名前を次々と挙げ、“疑惑”を明かしました。 片山氏は3月、告発した前県西播磨県民局長の男性職員を事情聴取し、男性は片山氏の聴取を含む内部調査の結果、停職処分を受け、7月に死亡。片山氏は男性の公用パソコンを回収するなど、県の内部調査を主導する役割を担いました。 疑惑には疑惑-。片山氏は「申し訳ない」としつつも、「私が疑惑を言われているから疑惑を言わせていただいている」と話し、右手を自らの胸に当て「疑惑」に続けて、疑惑を持たれているとする議員に右手をターンさせ「疑惑」と早口でまくしたてました。 「疑惑がある方は委員会では5人。委員会以外の方で5人。全部で10人」とぴしゃりと言い放ち、「調査をしてもらわなければいけないのではないか」と強弁しました。 斎藤氏の再選前と後では百条委の景色が変わりました。 斎藤氏が再選されたにもかかわらず、批判が収まらないことについて、片山氏は「2回も民意が示されているのに批判的なのはいかがなものか」と投げつけるように言いました。職員アンケートでは「斎藤氏のパワハラを見聞きした」とする回答が約42%に上ったことが分かっていますが、アンケートに自由記述された叱責(しっせき)場面には伝聞情報もあったため、片山氏は調査のあり方について「伝聞を優先するのか」と語気を荒らげました。 民意を受けて再選した斎藤氏への追及は、以前と比べて、「遠慮」があったようにも見えました。 百条委での最後の尋問で猛反撃した片山氏と強気を見せた斎藤氏。知事を支える副知事は、疑惑告発文書問題で県政混乱の責任を取るとして、片山氏が7月に辞職して以来、1人体制のままです。再選後の初議会では、斎藤氏自ら「2人(体制)が望ましい」としましたが、いまだ未定です。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)