FIA F2第12戦バクーを前に2名の優勝経験者がシリーズを離れる。ウイリアムズ育成も「資金の問題で」
9月13~15日に開催される2024年FIA F2第12戦バクーを前に、ザク・オサリバンとロマン・スタネが第11戦モンツァを最後に2024年シーズンのFIA F2を離れたことをそれぞれ明らかにした。オサリバンは今季2勝、スタネは今季1勝を飾っていた優勝経験者だったが、シーズン終盤戦を前にシリーズから離れることになった。 【写真】F4時代はザウバーの育成ドライバーだったロマン・スタネ ウイリアムズF1の若手ドライバー育成プログラム『ウイリアムズ・アカデミー』のメンバーであるオサリバンはイギリス出身の現在19歳。2021年にGB3でチャンピオンを獲得すると、2022年よりFIA F3にステップアップした。 FIA F3参戦2年目の2023年にシリーズ2位の成績を残すと、2023年F1第23戦アブダビGPのフリー走行1回目でアレクサンダー・アルボンのFW45をドライブしたほか、若手ドライバーテストでもF1を経験している。 2024年はARTグランプリからFIA F2に参戦し、第5戦モンテカルロのフィーチャーレース、雨により7周で終了となった第10戦スパ・フランンコルシャンのスプリントレースで勝利を飾り、シリーズランキングでは暫定13位につけていた。 「まずはARTグランプリとウイリアムズ・レーシングに感謝したい。2024年は信じられないような瞬間がいくつもあったし、複数の優勝、そしてモナコでのフィーチャーレース優勝という大きなハイライトもあった」と、オサリバンは自身のSNSで発信。 「ただ、残念なことにこのスポーツではストップウォッチ以上に多くの要素が絡んでくる。単純な問題は資金調達で、僕はARTグランプリでFIA F2シーズンを終えることができない」 「残りの期間で、自分の才能を発揮することができないのは残念だけど、スポンサーのみんな、ウイリアムズ・レーシング、そしてこの旅の間、僕と一緒にいてくれたサポーターのみんなにありがとうと言いたい」 なお、オサリバンの後任としてARTグランプリのシートを得るドライバーについては、現時点では明らかにされていない。 一方、スタネはチェコ出身の20歳。2019年に『ザウバー・ジュニアチーム』のメンバーとしてF4でシングルシーターデビューを飾ると、翌2020年にはFIA F3に昇格を果たした。トライデントから参戦した2022年のFIA F3でシリーズ5位の成績を残すと、2023年よりトライデントからFIA F2に参戦。 2024年の第3戦メルボルンのスプリントレースでは、トップチェッカーを受けたアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)がレース後にペナルティで降格したことで、繰り上がりながらFIA F2初優勝を飾っていたが、その後は苦戦が続きシリーズランキングでは暫定21位となっていた。 スタネはインスタグラムにビデオを投稿し、2024年シーズンFIA F2の残りのレースへ参戦しないことは「僕のマネジメントと一緒に下した難しい決断だったけど、同時に正しい決断だったとも感じてる」としている。 そして、FIA F3時代を含め3シーズンを過ごしたトライデントへの感謝とともに「僕はレースをやめたくない。2025年のFIA F2、それが不可能であれば他のレースのシートを見つけるために、今は頑張るよ。みんなのサポートに感謝している」と締め括った。 スタネの離れたトライデントのシートには2024年FIA F3をシリーズ5位という成績で終えたクリスチャン・マンセルが起用される。なお、クリスチャン・マンセルはオーストラリア出身であり、イギリス出身の元F1ドライバーであるナイジェル・マンセルとの血縁関係はない。 [オートスポーツweb 2024年09月10日]