悔しい悔しいダブル入賞……RB首脳陣も唇を噛む「アルピーヌと同じように、ダブル表彰台の可能性もあったのに」
F1サンパウロGPで角田裕毅7位、リアム・ローソン9位と、RB勢はダブル入賞を果たした。しかしレースの展開次第ではもっと良い結果を手にできていた可能性があったこと、そしてアルピーヌ勢がまさかのダブル入賞を手にしたことでコンストラクターズランキングで先行されてしまったため、RBの首脳陣は一様に悔しさを露わにした。 【リザルト】ダブル入賞も悔しい1戦に:F1第21戦サンパウロGP決勝レース結果 F1サンパウロGPの決勝レースは、終始ウエットコンディションで行なわれた。予選で大活躍し3番グリッドからスタートした角田は、ポジションをキープしレース序盤を走った。 そしてレース中盤に各車がピットストップを始めた頃、雨脚が強まり始めた。ほとんどのマシンがスタート時と同じインターミディエイトタイヤを履いた中、角田とローソンはウエットタイヤを履いた。 当時のコンディションはインターミディエイトで走るには雨量が強すぎた。そのためウエットタイヤのRB勢は他より圧倒的に速いペースで走行。首位に立つのも時間の問題かと思われた。 しかし雨脚が強くなりすぎたことで、セーフティカーが出動。コンディションとタイヤのアドバンテージを活かすことができなかった。その後クラッシュ発生により赤旗中断。これによりまだタイヤ交換を行なっていなかったアルピーヌの2台とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポジションを落とさずにタイヤを交換することができる権利を手にしたため、実質的に大きくポジションを上げることになった。そして、この3台が表彰台を独占する形になった。 一方で好判断が功を奏さなかったRB勢は、ダブル入賞を手にしたものの、涙を呑む格好となった。 「レースはジェットコースターのようだった。難しいレースになること、天候に左右されるだろうことは分かっていた」 チーム代表のローレン・メキーズはそう語った。 「レース前半は非常に良い位置を走ることができた。ユウキは素晴らしいペースで3番手をキープし、リアムも素晴らしいディフェンスを見せた。しかし赤旗が出たことでレースは影響を受けた」 「この赤旗で、ふたりのドライバーが手にしていたアドバンテージが薄れてしまった。ただ、こういうコンディションのレースでは、そういうこともある」 「8ポイントを獲得できたのは素晴らしいことだ。マックスの素晴らしい走りと、アルピーヌの健闘を祝福したい。しかし彼らが今日ポイントを獲得したことで、残り3戦がさらに厳しい戦いになるのは間違いないだろう」 「まだまだ接戦だ。今週末、我々のマシンは速かったが、過去2戦で見られたようなパフォーマンスの向上を基に、マシンから1秒ずつ絞り出すために、ファクトリーで全力で取り組む」 テクニカルディレクターのジョディ・エジントンも次のように語り、好結果を喜びつつも、悔しさも滲ませた。 「雨が強くなったことで、2台ともウエットタイヤに履き替えた。しかし2台のアルピーヌはコースに留まり、その直後に赤旗となったことでポジションを維持してタイヤ交換をすることができた」 そうエジントンは語る。 「再スタート後のペースは、前のマシンについていけるほど強力ではなかった。ユウキは7位でフィニッシュし、リアムは(ルイス)ハミルトンと(セルジオ)ペレスから9位を守り切った。2台でポイントを獲得できたのはよかったが、アルピーヌが達成したことを見ると、我々にももっとポイントを獲得できる可能性があった。悔しいね」 「レースとドライバーからのフィードバックを見直し、何を変えればよかったのか、それを判断して次のラスベガスGPに向けて備えるつもりだ」
田中健一