「関大に入って、もう一度ラグビーが楽しいと思えました」。立石和馬[関西大/FB]
「何もできませんでした。スキルの差はそこまで感じませんでしたが、明らかにフィジカルに差がありました」 それから、食生活を見直した。つくしヤングラガーズから同じ進路を辿り、同じく1年時から先発出場を重ねたPR宮内慶大に触発され、ウエートにも励んだ。 「体づくりは3か月経たないと変化は起きないと言われていたのですが、意外とすぐに結果が出ました。高校の時は結構、ぽっちゃりしていたのですが、体脂肪を減らして筋肉量を増やすことができて。それから足も速くなって、いつの間にかいろんなポジションができるようになっていました」 1年時は12番で全試合に先発、2年時にはU20日本代表候補によるキャンプにも参加し、秋にはFBでプレーした。3年時は13番やWTBで出場を重ねた。そして今春はリハビリ中だったSO﨑田に代わり、10番を務めた。 「U20日本代表候補に入ったときに自信もついてきて、周りに発言できるようになってからSOやFBもできるようになったんだと思います」 もともとの強みであるランに加え、キック、ハイボール処理でも光る。2年時と、4年時の秋にはゴールキックも担った。 「キックはまったく蹴られないタイプでした。自分でも驚きです。ヒガシの人たちもびっくりしていると思います」 立石の成長とともに、関西大も実力をつけつつある。 1年時から関西リーグ6位、8位、6位と順位こそ大きく変わらないが、上位チームに大敗する試合はもうない。2季前は京産大に99失点していた。 「本気でやれば絶対に負ける相手ではないと去年初めて実感できました。試合前のマインドが以前とは全然違います」 今季から目標も格上げ。それまでは上位3校が出場できる「選手権出場」だったが、今季は「関西リーグ優勝」とした。 「選手権出場を目指している僕たちが、選手権に出て上位を目指しているチームに果たして勝てるのかと。マインドの時点で負けていると考えました」 卒業後はハウスメーカーへの就職が決まっている。 「人生最後のラグビーのつもりです。ラストシーズン、何かを残して引退したいです」 7年ぶりの近大撃破は通過点に過ぎない。1963年以来の関西制覇と2015年以来の全国大学選手権出場を叶えるまで、成長を続ける。 (文:明石尚之)