元日本代表監督・萩本光威さんが振り返る決勝 全国高校ラグビー
第104回全国高校ラグビー大会は最終日の7日、東大阪市花園ラグビー場で決勝があり、桐蔭学園(神奈川)が東海大大阪仰星(大阪第2)を40―17で降し、2大会連続5回目の優勝を果たした。元日本代表監督で、関西ラグビー協会会長の萩本光威(みつたけ)さんが今大会を振り返った。 【写真で振り返る】桐蔭学園-東海大大阪仰星(決勝)全国高校ラグビー ◇関西ラグビー協会会長・萩本光威さん ◇「高校生全体のレベルが上がっている」 桐蔭学園が強かった。ここまで差が開くとは思っていなかった。 よく似た試合運びをする両チーム。縦に攻める時と横に展開する時のバランスが良い。東海大大阪仰星は、佐賀工との初戦こそけん制し合うような試合だったが、常翔学園(大阪第3)との準決勝ではリズムの良い攻撃をしていた。ただ、決勝は大きなチャンスになったところでラインアウトにミスが出るなど、乗り切れなかった。 桐蔭学園は要所で自分たちのラグビーを出した。後半開始直後にトライを取られても余裕があり、バックスの個々の能力やランニングスキルは一枚上手だった。スクラムハーフ(SH)後藤快斗選手、スタンドオフ(SO)丹羽雄丸(たける)選手、フルバック(FB)古賀龍人選手と、縦のラインに良い選手がそろっていた。 東海大大阪仰星のSO吉田琉生(るい)選手も高い技術がある。FWとバックスのリズムを合わせていくすべを身につければ、さらに成長できる。 高校ラグビー界で近年は留学生の活躍が目立つが、留学生頼みではなくなってきている。留学生のフィジカルの強さに頼るのではなく、「15人の中の一人」として組織的にプレーさせている。日本選手も含め、ブレークダウン(密集でのボールの争奪)のスキルやコンタクト力、スピードなど、高校生全体のレベルが上がっている。 近年は少子化の影響もあり、強豪校と選手集めに苦労する学校との二極化が進んでいる。「花園」に出るチームも徐々に固定化されてしまうのではないか。 ただ、ラグビーの裾野を広げていくために「花園」の舞台は絶対に必要だ。高いスキルと運動能力を備えた選手は各地にいて、大きく伸びる可能性を秘めている。大会中に行う、単独チームを編成できなかった高校の選手による「U18合同チーム東西対抗戦」を目標にする選手も増えていると聞く。 このような形も含めて「花園」を目標に頑張り、大学でもラグビーを続ける。そんな流れが浸透していったら、ラグビー関係者としてもありがたい。(関西ラグビー協会会長)