フィギュア新採点基準は五輪3連覇狙う羽生結弦、宇野昌磨の追い風になる?!「4回転ループ得意選手が有利に」
国際スケート連盟(ISU)が11日、フィギュアスケートの2020-2021年シーズンで用いる新採点基準を発表した。ジャンプの基礎点が変更となり、4回転ジャンプでは、ループが0.5点増加、逆にルッツが0.5点減少し、ループ、フリップ、ルッツの3種類のジャンプが同じ11.0点となった。ただ3回転ジャンプは同じような改定ではなく、ループの増加は行われず、4.9点のままで、ルッツだけが0.6点減少しフリップと同じ5.3点となった。 2022年2月に北京五輪が開催されるが、通常、五輪イヤーに大きなルールの改定は行われず、今回の改定ルールがそのまま北京五輪で採用される可能性が高いと見られる。それほど、重要な採点基準の変更となったが、この基礎点の改定は、なぜ行われ、誰が有利となり、2020-2021年シーズンのフィギュア界にどんな影響を及ぼすのか。 ISUは改定理由について正式な見解を明らかにしていないが、元全日本2位で福岡で後進を指導している中庭健介氏は、こんな見方をしている。 「点数の変更は、あるのかなと思っていましたが、まず驚きました。4回転ではルッツの点数が下がってループの点数が引き上げられました。改定理由と意図が明らかにされていないので、あくまでも推測の域を出ませんが、4回転ループは、実は、指導者や選手にとって難しいジャンプなのです。実際、成功している選手は少なく、日本では羽生選手がプログラムに組み込んでいる選手の代表となりますが、世界を見ても数人しか跳べません。なのにこれまで基礎点が高くありませんでした。ループの希少価値を再評価したことが改定の意図だと考えます。4回転に関しては、3種類のジャンプの基礎点が同一になったわけですから、よりジャンプの質を求めるための改定なのかもしれません」 6種類あるジャンプの難易度は、これまでの基礎点通り、アクセル、ルッツ、フリップ、ループ、サルコウ、トゥループの順とされていたが、4回転ジャンプに関して言えば、「アクセルの次に難しいのはループ」という声は現場や関係者の間からも聞こえていた。 ループは、後ろ向きで助走に入り、右足一本でアウトエッジで踏み切るエッジ系ジャンプで、タイミング、バランス、勢いの付け方が難しく、中庭氏も「自身の経験上、勢いの付け方が難しく恐怖感がある。また片足のまま踏み切るので、氷についていない足を使って回転、高さを生み出すことが難しいジャンプ」と説明した。 つまり正当な難易度に基礎点を修正したというわけか。