フィギュア新採点基準は五輪3連覇狙う羽生結弦、宇野昌磨の追い風になる?!「4回転ループ得意選手が有利に」
また(左回りの選手は)左足の滑りから、右足のトゥを使って踏み切るトゥ系ジャンプのルッツは、「回転方向と逆向きに身体を捻りながら、アウトエッジで踏み切るため、回転をあらかじめ生み出す事が難しいのが特徴です。男子の4回転ルッツを跳ぶ選手には、あまり見られませんが、女子の3回転ルッツでは、正確なアウトエッジではなく、踏み切り前に身体を回しながら跳ぶために、アウトエッジがフラット(インでもアウトでもない)状態やインエッジになったりするケースも少なくありません。つまり正確な踏み切りエッジにならず減点の対象となります。そういう難しいルッツを避ける選手も少なくなかったのです」(中庭氏)という。 中庭氏は、「だからこそルッツをクリアに跳べる選手が点数を取っていたのですが。その難しいルッツの基礎点を下げたことに疑問は残ります」という。 では、今回の基礎点変更の恩恵を受けるのはどんな選手になるのだろうか。 中庭氏の見解は、「4回転が主流の男子がより影響を受けるでしょう。そして4回転ループが得意な選手が優位となります。世界で初めて4回転ループを成功させ、長いシーズン、そのループを軸に戦っている羽生選手、ループを成功させた事もあり、フリップも跳べる宇野選手にとって有利になるでしょう。一方、ルッツを得意としているネイサン・チェン(米国)、ボーヤン・ジン(中国)、ヴィンセント・ジョー(米国)、ドミトリー・アリエフ(ロシア)らは、これまでの有利さが少しなくなります」というもの。 2016年に世界で初めて4回転ループに成功。昨シーズンもフリーの冒頭に4回転ループを入れるなどしてきた羽生結弦(25、ANA)への追い風となる可能性は大だ。同一得点となった3種類のジャンプのうち、2種類をより高い精度で跳べる選手が有利になることは間違いなく、ループ、フリップをこなす宇野昌磨(22、トヨタ自動車)にとっても好影響だろう。 一方、女子への影響はどうだろう。 中庭氏は、「3回転では、ルッツのみが減少されました。つまり4回転、トリプルアクセルと、ルッツとの得点差が鮮明になりました。昨シーズンからすでにその傾向は見られましたが、より高い難易度のジャンプを組み込んだプログラムを求められる時代になったということでしょう。女子で恩恵を受けるのはルッツが苦手で、フリップを軸にしていた選手となります」という。