未婚女性より深刻、50歳で未婚男性の「孤独」...定年後、死ぬまで働き続ける「結婚していないミドルシニア」の切ない事情【CFPが解説】
定年後も働く理由に「人との関わり」を求めるのは男性よりも女性が多い
日本総合研究所の調査によれば、定年を問わず、できるだけ長く働き続けたいか尋ねたところ、全体の45.5%が長く働きたいと回答しています。男女別には、男性(42.0%)よりも女性(49.0%)のほうがやや希望している人が多いですが、大きな差ではありません。 「できるだけ長く働き続けたい」または「わからない」を選択した回答者に、理由を尋ねたところ、全体では、「生活費を稼ぐため」(89.0%)が最も多く、男女ともに約9割に上ります。男性よりも女性のほうが、「健康を維持するため」(男性35.5%、女性41.5%)、「人と接していたいため」(男性16.1%、女性29.5%)が多くなっています。経済的な問題を理由に挙げる人がほとんどであるものの、男性よりも女性のほうが、人との関わりを大切にしていることがわかります。 定年後の働き方として、希望する働き方のスタイルを尋ねたところ、全体では「体力的に負担をかけずに働く」(47.9%)が最も多く、「現在の職種に近い仕事をする」(35.2%)、「現在の業種に近い仕事をする」(32.5%)と続いています。男女別に見てみても、この傾向は変わりません。高齢になるにしたがって体力は低下する人が増えますので、体力的な負担を軽減したいという理由は大きくなっています。一方で、現在の職種や業種に近い仕事をしたい、という理由からは、いままでのスキルや経験を活かしたい人が多いことが推察されます。
脱エイジズム社会で、孤独を予防する
2025年4月には、「65歳までの雇用継続」に関する経過措置が終了し、希望者全員への対応が求められます。企業は、「65歳までの定年引き上げ」「定年制の廃止」「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」のいずれかを導入することが求められます。さらに、単に物理的に働き続けられるということではなく、年齢を問わず、いままでのスキルや経験を活かせる働き続けられることが、働く意欲を活かすうえでは大切だと考えます。 本稿では、ミドルシニアの未婚者に焦点を当てましたが、特に男性は女性に比べて、仕事がなくなってしまうと、人間関係が希薄化してしまう可能性があることが懸念されます。働きたい人がいくつになっても働き続けられる脱エイジズム社会を作っていくことが、間接的には孤独・孤立の予防にもつながるのではないでしょうか。 小島 明子 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト